鞘師里保が自伝を出版。夢を叶えたアイドルが卒業を決意した理由とは?

芸能

2016/4/11


『17歳の決断』(鞘師里保/ワニブックス)

 時計の針を少し巻き戻したい。去る2015年12月31日、中野サンプラザは感謝と涙に包まれていた。大晦日のこの日、1人のアイドルがステージを去った。モーニング娘。の「絶対的エース」と称され、センターとして、近年のグループをけん引してきた鞘師里保である。

 6歳でモーニング娘。への憧れからダンスに目覚め、Perfumeや、乃木坂46の中元日芽香、BABYMETALのSU-METALなどを輩出した、アクターズスクール広島へ入校。その後、12歳で9期メンバーとしてオーディションに合格し、1824日ものあいだ、アイドルとして輝き続けてきた。

 おおやけに卒業を発表したのは、2015年10月29日。いったいなぜ、17歳の少女は卒業を決意したのか。鞘師の自叙伝『17歳の決断』(鞘師里保/ワニブックス)には、幼少期から卒業までの赤裸々な思いが込められている。

 卒業について「自分で決めた事なのでこれからも成長し続けると約束します」と力強いメッセージを残す鞘師。公式に語られる主な理由は“海外留学”だが、そこにいたるきっかけはモーニング娘。´14(当時)として、2014年10月5日に行なわれたグループ初のニューヨーク公演「Morning Musume。´14 Live Concert in New York」だったという。

 初めて渡ったニューヨークの感想を「もうちょっといられたらいいのになって心底思いました」と振り返る鞘師だが、なかでも印象に残ったのは街並みそのものだったという。ケータイにはいまだ、その光景を捉えた写真が何枚も残っているというが、なにげない風景ですら「ニューヨークの全部がかっこよかったです」と語る。

 加えて、公演当日のステージを振り返るなか、日本とは異なる盛り上がりに「すごく新鮮でした」と話す。メンバーが話しはじめると、静かに見守ろうとする日本の観客とは異なり、その一挙手一投足に「キャー!」という歓声で応えようとする海外の観客たちを前にして「日本以外の場所に出て新しい感覚を味わえたし、そこで吸収できたものが私にはすごく大きかった」と、当時の感動を表している。

 ぼんやりと憧れを抱いていた留学の意志を、自分なりに示しはじめたのは2015年の夏頃から。スタッフへ相談すると共に、つんく♂からは「自分の人生やから、まわりに引っ張られずに自分で決めたほうがいい」と後押しされたというが、自身の人生において「初めて自分でちゃんと決めたことなんじゃないかと思います」と、その決断にひそむ重みを伝える。

 当然というべきか、メンバーへ卒業を伝えた瞬間は「全員の表情を見る余裕はなかったです」と心境を振り返る鞘師。しかし、17歳の少女はみずからの意志で、パフォーマンスへの貪欲さをもとに新たなステージへと歩みはじめた。憧れの存在だったはずのモーニング娘。への加入という夢を果たし、次なる目標へ向かった鞘師はきっとまた、日本のエンターテインメント界で輝きを放つことだろう。

文=カネコシュウヘイ