新久千映×まずりんの「女の一人飲み」あらため「女の悪酔い」対談!?【前編】

アニメ・マンガ

2016/5/19

TVドラマ化もされ、目下大ブレイク中の「女の一人飲み」漫画『ワカコ酒』。その作者、新久千映が、こんどは自身を主人公に、女一人で酒場を楽しむノウハウを満載したコミックエッセイ『新久千映の一人さまよい酒』を刊行!
一人ふらりと入る赤提灯の店選びで失敗しないコツから、ディープな酒場での楽しみ方、バーやワイン、日本酒といった、さらなる上級者にステップアップするためのヒントまで、これ一冊で新たなお酒の世界の扉が開かれること間違いなしの充実の内容となっている。

今回はそんな新久先生たっての希望で、アラサーOLの本音をえげつないまでの描写で浮き彫りにし、各所から多大な支持を集める漫画『独身OLのすべて』の作者、まずりん先生との対談が実現。「女の一人飲み」がテーマのはずが、2人とも実際にお酒を飲みながらの対談は、油断するたびにあらぬ方向へと転がって……。

 

まずは乾杯からスタート! 新久先生の熱い想いがいきなり爆発?

まずりん:こんにちは、まずりんです。

新久:はじめまして、新久です。あの……大ファンです!

まずりん:わ〜、ありがとうございます!

ーーお2人は直接お話しされるの、初めてなんですか?

まずりん:そうですね。わたしも『ワカコ酒』全巻持ってますよ!

新久:そのお話、この対談の前に伺ってものすごくびっくりしました。まさか読んでくださってたとは。

まずりん:私、とにかく食べることが好きなので、グルメ漫画が大好きなんです。『ワカコ酒』は「このお酒に合わせるのはこの料理」みたいな部分をこだわって楽しんでる感じがすごく素敵ですよね。

新久:ありがとうございます! 組み合わせといっても、私はウンチクも知らないし、特に深く考えてるわけでもなくて、揚げ物だからビール、お魚には日本酒、みたいに、自分の好きなように合わせているだけなんですけど。

ーーそうやって素直に楽しまれているのも新久さんの作品の魅力ですよね。そんな新久さんの新刊『新久千映の一人さまよい酒』が発売となり、記念対談の相手として真っ先にお名前が挙がったのが、まずりんさんだったわけですが。

まずりん:私の方こそ意外でした。「どこをそんなに気に入ってもらえてるのかな?」って。

新久:それについては一晩でも語れます!

ーーすみませんが、今日はなるべくコンパクトにお願いします(笑)。

新久:(笑)。たぶん世代も近いし、ジョジョネタがどストライクで。私もジョジョラーなんですよ!

まずりん:バイブルですからね。読者のみなさんにもジョジョは読んでもらっている前提で描いてるので、「ネタの意味がわからなかった」って言われても「え? わからない意味がわからないんですけど」って。

ーーもはや義務教育というわけですね(笑)。新久さんは『独身OLのすべて』の内容に、女性として共感される部分もありますか?

新久:もちろん共感もたくさんあるんですが、主人公3人の行動のおもしろさがそれを上回っちゃってるんですよね。ツッコミのセリフのセンスも大好きですし。私、ガラケーなんでLINEを使ってなかったんですけど、まずりんさんのスタンプが使いたくてタブレットとパソコンから登録したくらいなんです。

まずりん:それはそれは。

新久:だけどこの前、まずりんさんの漫画を読んだことない友だちにマユ子のスタンプを送ったら、「なんか赤いケツが喋ってたね!」とか言われちゃって(笑)。

ーーまずりんさんのキャラクター造形はものすごく独特ですもんね(笑)。

 

シュールな見た目はシンプルながらインパクト大

『独身OLのすべて』4巻より ©まずりん/講談社

 

まずりん:実はこれ、当時今よりもっと絵がヘタで、そもそも人間が描けなかったんですよ。だけど「何か描いてください!」っていう締切が迫ってて、「もう見た目、人間じゃなくていいや」って開き直ったら、それが功を奏して。

ーーノブ子の手はどこから出てるんだ? っていう(笑)。だけどあのデザインなら、どんな無茶な体制をとろうが「こういう生き物だから」って言い張れますよね。

まずりん:そうそう、もはや「概念」なので。

ーーだけど本当に、巻を重ねるごとにキャラクターたちがどんどん生き生きとしてきて。

新久:最初は3人で一組という感じだったのが、今は全員の役割がきっちり違いますもんね。

 

それぞれの「女の一人飲み」模様

ーー『独身OLのすべて』では、主人公3人の安息の地のような役割として居酒屋のシーンが出てきますが、まずりんさんご自身がどのようにお酒と付き合われているのかは、あまり知られていないですよね。

まずりん:私は新久さんほどの生粋のお酒好きではないと思います。最近はなるべく控えるようにもしていますし。

新久:以前はかなり飲まれてたんですか?

まずりん:飲み出したら止まらないんですが、これまで何度も生き恥をさらしてきたので(笑)。

ーーそういうお話はじっくりと聞いてみたいです。

まずりん:いや、公開できる話はほとんどないですし……。

ーー残念です(笑)。では、もともとお嫌いというわけではないんですね。

まずりん:もちろん今でも飲みに行くことはあって、行けばけっこう飲んじゃいますね。一人飲みが好きなわけじゃないんですが、純粋に友達が少ないので一人飲みが多いです。以前会社員だった頃はよく同僚と飲みに行ってたんですけど、漫画家なんて孤独ですよ。……なんだか悲しくなってきた(笑)。

ーーしかし今日の対談テーマは「女の一人飲み」なので、ぴったりといえばぴったり(笑)。

まずりん:私の家から徒歩数十秒のところに日本酒バーがあって、最近はそこにばかり行ってしまってますね。初めてのお店に一人で入るのって勇気がいりません?

新久:それはありますよね。私が最初に一人飲みを始めたのは、24〜5歳くらいの時だったんですけど、ちょっと気を使わなきゃいけない飲み会の帰りで、お酒も食事も十分にとれてなかったんですよ。で「なんか足りないな〜」っていう思いからふらっと入ってみたお店がすごく良くて。

ーーそこで一人飲みに対する意識改革が。

新久:そうですね。一人だとお店の人ともちゃんと話せるんだ、とか。

まずりん:私はお店の人と話すのも緊張します。

新久:もちろん私もです! ただ相手の人柄にもよるので、気さくなおじいちゃんなんかだとだいぶ話しやすいですよね。

まずりん:また、向こうから話しかけてくださる場合はまだいいんですけど、こちらからいくと「孤独な女が会話を求めて来やがったと思われるんじゃないか?」とか想像してしまって(笑)。

新久:(笑)。私も自分からはそこまで話しかけないですね。この間初めて行ったお店で、お客さんがまだ自分しかいなくて、大将が立ったままチラチラこっちを見てるんですよ。あまりにも気まずくて、一言「今日はゆっくりなんですね〜」って言ったら、わぁー!っとものすごい勢いで喋りだして。

まずりん:それはそれで困っちゃいますね(笑)。

 

一人さまよい酒

大将と心が通う瞬間も居酒屋の醍醐味

 

女の家飲み事情〜ひと手間でできる簡単おつまみ

新久:まずりんさんはご自宅では飲まれないんですか?

まずりん:私、家では一滴もお酒飲まないんです。なぜなら、大好きなネットサーフィンができなくなるから!

新久:飲んだらできなくなるほど酔っちゃうんですか?

まずりん:いえ、ネットサーフィンはネットサーフィンで純粋に楽しみたいんです!

ーーそれほど神聖な行為だと(笑)。新久さんはもちろんご自宅でもお酒を飲まれると思いますが、その際の定番おつまみは?

新久:私はとにかく魚好きで、刺身でも焼き魚でも、魚を食べるなら絶対に飲まずにはいられないんです。もう「今日は飲むぞ!」というモードになっちゃって、そのあとは仕事できない。

ーー料理するのもお好きなんですか?

新久:いや、しなくはないというくらいですね。それよりも「早く食べたい!」という気持ちが勝ってしまって、もちろんキッチンで料理しながらも飲みますし。

まずりん:私も家でノンアルコールビールを飲みながらおつまみっぽいものを食べたりすることはあるんですけど、生ハムとチーズとか、韓国海苔とか、そういう簡単なものが多いですね。韓国海苔を切らしてしまったら、普通の海苔にごま油と塩まぶして食べたり。

ーーお! それは有益な情報ですね。お手軽韓国海苔。

まずりん『独身OLのすべて』にも出てきた「サバのなめろう(風)」も、実際に担当さんおすすめのメニューで、サバの水煮缶詰に、味噌とネギを入れてぐちゃぐちゃにして食べるんです。私も家で作ってみたことあるんですけど、ものすごい大量にできちゃって(笑)。担当さんいわく、1日目はおつまみにして、残ったら2日目にお茶漬けにしたりして食べるらしいんですが、そんなに連日は食べたくないっていう。

 

『独身OLのすべて』4巻

簡単で試してみたくなる「サバのなめろう(風)」

『独身OLのすべて』4巻より ©まずりん/講談社

 

新久:(笑)。だけどそういう「ひと手間系」のおつまみって楽しいですよね。『ワカコ酒』でも描いたんですが、シーチキンに玉ねぎの薄切りとマヨネーズをたっぷりかけて炙るだけっていうのも最高にお酒が進みます。

まずりん:最近、電子レンジでスクランブルエッグができる容器というのが売ってるんですが、これにかきまぜた卵ととろけるチーズを入れてチンするだけでトロトロに仕上がるんですよ。そこにナンプラーをかけて食べるのが美味しくて! 絶賛大流行中です。

新久:ナンプラーを使うととたんにエスニックテイストになりますよね。真似してみよう!

まずりん:新久さんもチーズがお好きだそうですが、どのようなものが?

新久:チーズというチーズは大体好きです。クセの強いチーズ、それこそブルーチーズとかも大好きですし。

まずりん:私もです。最近ウォッシュタイプのチーズもお気に入りで。臭いものに対して感覚がどんどん麻痺してきてるのか、いずれは「くさや」とかにたどり着くんじゃないかと思っていて。

新久:くさや、食べたことないですね。こっちではあまり手に入らなくて。

ーーあ、ではこんど東京からお送りしましょう。

まずりん:だけど家で焼いたら大変なことになりますよね。隣近所に匂いが(笑)。

新久:ちょうど今、うちの隣が引っ越しちゃって空室なので、大丈夫だと思います(笑)。

取材・文=パリッコ

 

独身OLのすべて』4巻

まずりん 講談社

Webで3000万ビュー突破の圧倒的OL支持率ナンバーワン漫画!!!(※飲み屋調べ) 4巻には、幽霊退治に女子会バトル、無人島サバイバルなど、OLの日常(?)をハイテンションに描いた全16編ほか、描き下ろしマンガも収録!

新久千映の一人さまよい酒

新久千映 KADOKAWA

よいお店を外観だけで判断する方法、ちまちまとお得に飲めるお一人さまのメニュー選び、頑固おやじ・毒舌系おかみの店で居心地よく過ごす方法。『ワカコ酒』でブレイク中! 飲んべえマンガ家・新久千映による「一人飲みをもっと楽しくする」あの手この手を紹介するマンガです。 バーでの大人な振る舞い方や、好みの日本酒・ワインを見つける驚きのテクなど、今夜から実践したくなる一人飲みの楽しみ方も満載!

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