「母親の死」という究極のテーマで大反響を呼んだ絵本の続編『さよなら ママがおばけになっちゃった!』もやっぱり大号泣!

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/14

昨年7月の刊行以来、異例のスピードで売れ続けてテレビやSNSで話題となり、Amazon全体のランキングで1位を獲得した絵本『ママがおばけになっちゃった!』(のぶみ/講談社)。その続編『さよなら ママがおばけになっちゃった!』もこの7月に発売されシリーズ累計53万部を突破した。

この2冊は、「母親の死」という重く扱いにくいテーマを、涙とユーモアをまじえて子どもにもわかりやすく描いた物語だ。

ママがおばけになっちゃった!』は、「ママは くるまに ぶつかって、おばけに なりました。」という一文からはじまる。

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交通事故で死んでしまったママは、4歳の息子のかんたろうのことが心配でおばけになって家に舞い戻る。

おそらくシングルマザーなのだろう。かんたろうのお世話はおばあちゃんがしているが、ママはかんたろうが泣いて悲しむ姿をそばで見守るだけでは我慢できず、夜になってからかんたろうの目に見える姿で現れる。

それから親子の会話がはじまり、お互いの気持ちを伝え合うのだが……。

そのあまりにもつらい内容に、子どもに読み聞かせしながら自分が泣いてしまうママが続出! ツイッターではこんなコメントが目についた。

「何回読んでも泣ける(;_;) 子どもたちに読み聞かせできない(;_;)」
https://twitter.com/riririn20/status/703870088672374784

「泣く泣くと聞いていたが、やっぱりね…泣くわ!小2末っ子が棒読みでつっかえながら読んでいたけど、そんな読み方でも泣けるのは、私もママだからだろうな」
https://twitter.com/ayuimagg/status/702476431666708480

「読みながら息子と2人で号泣。でもところどころクスッとなって、最後は色々考えさせられる。息子のためにも笑顔でいなきゃなって改めて思える絵本です。」
https://twitter.com/toyowaka1214/status/699207876716339201

「昨日買った本、本当に泣ける。子供に買ったのに親がすごい泣ける。危険な本。」
https://twitter.com/yukiyuyuyu/status/690155509488435201

息子を持つ放送作家の鈴木おさむさんもこんな感想を綴っている。

「子供の前におばけになって出てくるお母さんと子供のお話。
途中途中、笑えて。明るくて。それでも、タイトルから連想する通り、泣けてくる。
読んだ後に、自分の子供もそうですが、奥さんのことをギュっと抱きしめたくなる本。
そういう本と出合えることも運と縁。すごくいいです。」
「放送作家鈴木おさむのネタ帳」(2015.9.5のブログより)

続編の『さよなら ママがおばけになっちゃった!』は、おばけになったママのお葬式の場面からはじまる。お葬式で飾る自分の写真にツッコミを入れたり、おばあちゃんとかんたろうの会話にヒヤヒヤしているママの様子は笑えるけれど、かんたろうが目の前に現れたママを見て「うわあああああん! ママー!」と大号泣する辺りから涙腺がゆるみはじめる。

特に親が胸打たれるのは、ママが安心して天国にいけるように、なんでもひとりで頑張っていたかんたろうの話だ。

ⓒのぶみ

さらに涙を誘うのは、そうやって頑張っていた自分を否定するかのように、かんたろうが「ぼく、ママが いなく なるんだったら、やっぱり ひとりで なんにも できない こに なって やる!」「ダメな こに なって やる!」と泣きじゃくりながら叫ぶシーン。そのあと2人が抱き合うシーンに涙があふれ出てくる。

ⓒのぶみ

母親の死というのは、子どもがもっとも考えたくないことだと思う。一男一女の父親でもある作者・のぶみさんが、その究極のテーマをあえて絵本にしたのは、世話の焼ける息子さんを心配した奥さんが「私がいなくても生きていけるのかしら?」とつぶやいたことがきっかけだった。そしてこの絵本を読んだ子どもたちに、ママは大切なんだとわかってほしいとインタビューで語っている。

4歳の我が娘にもおそるおそる読み聞かせしてみたところ……。かんたろうが泣きじゃくるところで一緒に「グスンッ、グスンッ」と泣きはじめ、読み終えたあと3秒間ほど開いて「うわあああーん!! ママ! ママーッ!」と大泣きしてしまった。その後、何度もぎゅーっと抱きしめて、「ママはおばけにならないからだいじょうぶだよ!」と言い聞かせ安心させたのは言うまでもない。

でもいつか必ず親も死ぬときがくる。それまでにどれだけ親子の楽しい思い出をつくることができるだろうか? そう考えはじめて眠れなくなってしまう絵本でもある。

文=樺山美夏