和食はヘルシーではなかった!? 塩にも中毒性がある!? 無理せず上手に減塩するコツとは

健康・美容

公開日:2016/10/14

 ヘルシーであるとして世界中で注目を集めている和食。食事のカロリーを計算すると、煮物や焼き魚など、和食には低カロリーのものが多いことに気付く。しかし、栄養素を細かく見ていくと、カロリーは適正でも塩分過多になってしまうことが多い。

 そういえば、10年くらい前になるが、外国人の知人に「和食は醤油をよく使うし塩気が強いけれど、本当にヘルシーなのか? 塩分をとりすぎじゃないか?」と聞かれたことがある。当時は、和食がヘルシーだと何の疑いもなく信じていたので、迷わず「イエス」と答えたのだが…この指摘は、的を射たものであった。

 それを分かりやすく説明してくれるのが『塩分のとりすぎがあなたの体をむしばむ』(済陽 高穂/PHP研究所)だ。医師でもある著者が、和食の塩分の高さをデータで示しながら、減塩をして健康的な食生活を送るためのヒントを紹介している。

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カリウム摂取でバランスをとる

 塩分摂取を減らすために、「減塩」を心がけることは言うまでもないが、摂取してしまった塩に対して効果的に働くのがカリウム。塩(ナトリウム)とカリウムは体内でバランスをとっているので、塩を多くとってもカリウムも多くとっていれば、過剰なナトリウムが体外に排泄されるのだ。つまり、塩を減らすことと同じくらい、カリウムの摂取も大切だということ。カリウムは果物や野菜に含まれるので、積極的に摂取していきたいところだ。

「隠れ塩」に注意

 塩分の摂取を減らす際、注意しなくてはならないのが「隠れ塩」。加工食品に含まれる塩分だ。実は、私たちが手作りの料理で摂取している塩分は全体の半分程度で、残りは中食(惣菜やレトルト食品、コンビニ弁当など)や外食でとっている。これは論文でも発表されているデータなので、個人差はあるものの、多くの日本人に当てはまるだろう。さらに、著者は「塩蔵品」にも注意が必要だと指摘する。塩鮭、いくら、佃煮など、保存するために塩に漬け込むなどして長期保存を可能にした食品が該当する。魚介類の干物や煮干し、ちりめんじゃこなど、海産物を乾燥させたものも塩分が高い。

塩にも中毒性がある

 砂糖の中毒性については、ある程度知られていると思うが、塩にも中毒性があることをご存じだろうか。しかも、過去に発表された論文では、塩にコカインやヘロインのような中毒性があることが指摘されているそう。マウスを使った実験でも、食塩水を与えた時の脳の動きを調べたところ、依存症をもたらす要因となるタンパク質が形成されていたとのことだ。確かに、ポテトチップスなど塩分の高いスナックを食べていると、止まらなくなり、一気に完食してしまうのは珍しいことではない。塩気の強いジャンクフードを無性に食べたくなるのも、塩依存が原因なのかもしれない。

 では、上記3つのポイントを実際の食事に取り入れるには、どうしたらいいか。著者が提案しているものから、家での食事と外食で実践できそうなことをまとめてみた。

 家での食事:出汁を手作りする、様々な調味料を使うなど、塩以外での味付けで減塩を心がける。果物と野菜を効率よくとるにはフレッシュジュースがオススメ。ミキサーではなくジューサーを使うと、なお良い。加工食品を使う時には、「隠れ塩」の存在を念頭に置き、量や頻度に気をつけよう。塩蔵品は時々楽しむ嗜好品に。元々塩分の高い食材を調理する時には、味付けに気をつける。

 外食での食事:メニューに表記がある場合は、必ず塩分量を確認して、塩分が少なめのメニューを選ぶ。塩分を多く含む味噌汁や漬物、麺料理の汁などは残すことを心がける。野菜→メインのおかず→最後に主食のご飯や麺類、の順番で食べることでも減塩が可能。おかずをご飯と別に食べるので、自然と薄味を好むようになる。特に塩気の強いものを食べたくなった時には、塩の中毒性のことを思い出し、できるだけ他の減塩食をとるようにする。

 ご紹介した以外にも、本書には普段の生活に取り入れられそうなアドバイスが存分に盛り込まれている。塩分の過剰摂取は高血圧や胃がんの原因にもなるそうなので、著者からのアドバイスを参考にして、少しずつ減塩に取り組んでみてはいかがだろうか。

文=松澤友子