「サンキュー大作戦」で箱根駅伝三連覇に挑む! 青学・原監督がポジティブなスローガンを掲げる理由とは?

スポーツ

公開日:2016/12/29

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 2017年1月2日(月)と3日(火)に行われる「第93回箱根駅伝」。2016年12月に行われた記者発表会で、3連覇がかかった青山学院大学の原晋監督から、注目の作戦名「サンキュー大作戦」が発表された。

 2004年に同大学陸上競技部に就任した原監督は、その名も「ワクワク大作戦」を掲げて2015年の箱根駅伝で初優勝。2016年の箱根駅伝は「ハッピー大作戦」で39年ぶりの完全優勝、2連覇を成し遂げている。2016年11月に発売された『人を育て 組織を鍛え 成功を呼び込む 勝利への哲学157 ~原晋、魂の語録』では、原監督が青学陸上部を育てる上での信念が込められた言葉の数々を紹介。同会見での原監督の言葉にも、強い信念と決意が込められていた。

 原監督が、他とは一線を画すポジティブなスローガンを常に掲げているのは、「すべては明るさから始まる」という信念から。かつて「自分の言葉で表現豊かに話す選手が増えると、自然とチーム内の空気が良くなる。それによってムードが明るくなり、つらい選手も一丸となってがんばれる」と発言している。

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 箱根駅伝初優勝と同じ年の11月、全日本大学駅伝で東洋大学に敗れた際、チームが暗い雰囲気に包まれ、ネガティブな言葉を口にする選手が増えたときも、前向きな発言、前向きな考え方に転換させる必要性を感じていたそう。そこで「優勝した時と比べて悪い部分を見るんじゃなく、いい部分を見つけて、自分たちも見てる人も“ハッピー指数”を上げていこうと」考えた原監督。「チーム全員がハッピーになることが大事」と、作戦名を「ハッピー大作戦」にして結果を残した。

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 今回の作戦名「サンキュー作戦」の理由について、同会見と、その後行われた監督トークバトルで原監督は「3連覇、3冠、そして監督になって9度目の出場。お世話になったみなさんに“サンキュー”と言いたいんです」と説明。「11月の下旬に、寮の風呂入ってる時、『これだ』と。なかなかよくないですか?」と自画自賛し会場を笑わせた。

 原監督は2014年のトークバトルでも、その年の新語・流行語大賞に輝いた日本エレキテル連合の決めゼリフ「ダメよ~、ダメダメ」に引っ掛けた一発ギャグ「駒大の独走だけはダメよ~、ダメダメ」を繰り出し会場を笑いの渦に巻き込んだ。この“会話力”は原監督の大きな武器でもあり、陸上競技を通して生徒たちにも学ばせようとしていることの1つ。青学陸上部が行っている「朝の一言スピーチ」は、「例え話や言葉遊びを通じて、選手たちに会話力や表現力を身に付けてもらいたい」という監督の思いからだ。

 また、トークバトルでは「チームとしてノウハウが確立されてきている。私がワーワー言う時期が過ぎまして、学生たちが『強くなりたい』という気持ちで取り組んでくれてる」という発言も。これは監督がこれまで発してきた、「やる気を引き出すには言葉が重要。大切なのは問題に臨む前向きな態度だ」「選手たちを、走りたくて仕方ないという心の状態に持っていくことが大切です」「自立した選手を育てる。監督が言うから走るというヤワな選手にしたくない」という信念から、選手たちを原監督流に指導してきた成果に違いない。

 この発言に続いて「(学生が自発的に取り組んでいることで)指導者として楽をさせてもらってる。いろんなテレビに出させてもらって(笑)」とおどけてみせた監督だが、自分がメディアに露出することで、子供たちがほかのスポーツではなく陸上を志してほしいと願っている。「ジュニア世代に陸上は楽しく夢があると発信しないと。それは優勝チームの監督の役割」という責任を感じてのことだ。

 最後に「駅伝3連覇、3冠が手の届くところにきている。心の底から『ありがとう』といえる戦いをしていきたいと思います。サンキュー大作戦、サンキュー!」と高らかに声をあげた原監督。サラリーマンから駅伝名監督となった異端児・原晋の組織構築術、人材育成術が2017年も実を結ぶことになるのか。1月2日(月)の往路、3日(火)の復路に注目が集まる。

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