「自由と責任は有料」「働くことは生きること」―壮絶エピソード満載の“理恵子ママ”からのメッセージ

恋愛・結婚

2016/12/22

『スナックさいばら おしごと篇』(西原理恵子/KADOKAWA)

「自由と責任は有料」「働くことは生きること」。これは、『スナックさいばら おしごと篇』(西原理恵子/KADOKAWA)の著者である西原理恵子氏の言葉だ。この言葉を聞いた時、激しく同意せずにはいられなかった。もちろん、働くだけの人生では面白みがないかもしれない。けれど、現実的には、働かなければ生きていけない。お金ですべてが手に入るとは思わないが、ある程度の自由が手に入ることも事実。そして、そこには責任が伴う。

 本書では、読者からの悩みや愚痴、武勇伝などの投稿に対して、西原氏が“理恵子ママ”としてざっくばらんにコメントしている。称賛を送ったり、端的にアドバイスをしたりするのだが、すべてが経験に基づいているので、とても説得力がある。想像を絶するような壮絶なエピソードが満載なのも、西原氏ならではだ。

◆自由と責任は有料

 自分のためにお金を使って借金を作る父親を、母親が追い出し、ようやく生活が安定したという経験を持つ32歳の女性。その経験から、病気などのハンデがあってもくじけず、自分で食べていけるだけの稼ぎを得られるようになった。そのおかげで、将来は未知数だが本当に好きな人を選ぶことができた。

 この女性に対して、西原氏は惜しみない称賛を送る。経済的に自立していれば、年収で男性を選ぶ必要もないし、万が一の時には離婚という決断も下せるもの。「いざという時に自分の幸せはちゃんと自分でつくっていくことができるように、人は働くんだと思う」と語る西原氏は、誰にでも働いて、稼いで、勝ち取った戦利品があるはずだと指摘。稼いだお金そのものではなく、それによって得られたものに価値があるのだ。

◆恨みを資格に変える錬金術

 西原氏のもとに投稿する猛者のなかでも、特にたくましいのがこの女性。夫の浮気癖が治らず離婚を考えるも経済的に難しかったため、必死に勉強をして社宅のある大企業に就職した。すると、その頃には夫との仲が良くなり、子ども2人に恵まれ、夫は育メンになったそう。

 西原氏も言っているが、「立派」の一言である。普通なら浮気した夫を責めて、関係が悪くなってしまいそうだが、この女性は浮気された恨みを資格に変えたのだ。そして、夫が「手放したくない嫁」になった。西原氏は、この状況を「恋人同士が夫婦になった、家族になった」ということではないかと述べている。恋人同士の時期が終わり、家族として落ち着いた時に、相手がいい旦那さんになっていた、というわけだ。

◆「なんやかんや」の一言でくくれる強さ

「なんやかんや」は、理恵子ママの魔法の言葉。生きていれば誰にでも様々な苦労がある。話し出せばキリがないし、辛い思いを追体験してしまうことも。しかし、「なんやかんや」でくくってしまえば、不思議なことに、「ま、いいか」という気持ちになれる。そして、この「なんやかんや」には、その人の工夫や人生が詰まっているのだと西原氏は語る。

 確かに、ひとつのことを終えた時、思い起こせば数え切れない苦労があるもの。しかし、それは過去だ。すべてが上手くいったわけではなくても、「なんやかんや」無事にやり遂げたなら、それでいいのだ。そこから学んだこともあるだろうし、反省することもあるだろう。それでも、必要以上に過去にとらわれずに、前に進んでいればいい。理恵子ママは、そんな風に、日々の生活に奮闘する人たちの背中を押してくれるのだ。他の誰よりも、その言葉に救われてきたから。

 日々の生活や人間関係に悩んでいる方も、西原氏のアドバイスや体験談を聞くうちに、気持ちがラクになることだろう。まさに、“読むユンケル”のような一冊。一年の疲れが溜まるこの時期に、本書で明日からの活力を得てみては?

文=松澤友子