世界から「貧しさ」をなくすにはいくら必要? 

社会

2017/3/13

『世界がもし100人の村だったら お金篇 たった1人の大金持ちと50人の貧しい村人たち』(池田香代子、C.ダグラス・ラミス/マガジンハウス)

 タッチアップ、スクイズ、ホームスチール――これは野球の専門用語。野球をやったことがある、野球を見るのが好きだという方はわかるだろう。しかし、わからないという方は“ちんぷんかんぷん”に違いない。

 わからない・難しい言葉や数字が出てくれば、そうなってしまうのは当然。特に今回取り上げる「経済」や「金融」というテーマは苦手、という人は多いのではないだろうか。私も正直苦手な分野だ。そんな世界の経済・金融の話を含む「お金」にまつわるテーマをわかりやすくまとめてくれているのが『世界がもし100人の村だったら お金篇 たった1人の大金持ちと50人の貧しい村人たち』(池田香代子、C.ダグラス・ラミス/マガジンハウス)。色々なデータを「世界が100人の村だったら~」という切り口で教えてくれる人気シリーズの最新刊だ。今回は本書から抜粋し、クイズ形式にして紹介したい。

■世界が100人の村だったら、1人の大金持ちが富の○%、残りの99%が□%を持っている。○と□に入る数字は?


答え:両方とも50%

 現在、モノやサービスを売り買いした代金の合計(GDP)は世界全体で約73兆ドル(日本円にして約8030兆円)。その半分以上は一握りの金持ちが掌握しているというから驚きだ。かたや1人で50%のお金を独り占めし、かたや50人で1%ずつのお金を分け合っているという計算になる。

 ドルやユーロといった「外貨」は為替変動制という制度によって、刻一刻と値段が変わる。つまり、「1ドル」という商品が100円になったり、110円になったりするということ。この通貨取引額の差額を利用して儲ける人がいる。

■世界の通貨取引額は1日にいくらか?


答え:5兆ドル

 15日あれば、世界の年間GDPを超えるほど通貨取引額は多い。他にも国債・株・先物取引など実態のない商品をやり取りする取引が多数存在する。お金がお金を生み出すマネーゲームで遊べるのはお金持ちだけ。そんなお金持ちの中には、海外の銀行にお金を預けて隠し、税金を払わない脱税に手を出すことも。

■貧しさが原因で○秒に一人の子供が亡くなっている。○に入る数字は?


答え:5

 1%の金持ちが秒単位のマネーゲームで財産を増やすと同時に、貧しい国では、貧しいことが理由で戦争が起こり、災害によって多くの人が死んでいる。「人間みな平等」なんて綺麗ごと。安全な国で、腹いっぱいご飯を食べ、最先端の医療を受ける金持ちが長生きする。そんな現実がデータによって明らかになっているようだ。

■世界から貧しさをなくすには、いくら必要か?


答え:2810億ドル

 日本円にして約31兆円。途方もない数字のような気もするが、世界にいる1800人のとびきりのお金持ちは合わせて6兆ドル以上の財産を持っているという。もしも、このお金持ちに1%の税金をかければ、これだけで年間600億ドルを捻出することができる。もちろん、これだけでは賄えないし、現実的に税金をかけることは難しい。しかし、貧困をなくすことは決して不可能ではない。

 知ることからすべては始まる。本書を読んだところで、貧しい人や苦しんでいる人を救うことはできない。なぜなら、それはスタートラインに立っただけだから。この本を読んだ一人でも二人でも三人でも、「このままではいけない」と考え、自分にできることを始めるために一歩前に踏み出せば、きっと世界は変わるはずだ。

文=冴島友貴