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上野のジャイアントパンダは年間◯億円以上の経費がかかっている?『子供に言えない動物のヤバい話』

『子供に言えない動物のヤバい話』(パンク町田/KADOKAWA)

 動物園は大人も子供もワクワクできる場所だ。定番の人気者といえば、やはりライオンやトラ、ゴリラといった大型の動物たち。もしくは、猿山のサルたちをボーっと眺めているだけでも、ついつい時間を忘れてしまうような空間でもある。

 ただ、私たちは動物園のすべてを知っているようで知らない。そんな知られざる動物園の裏側を伝えるのが、3月10日(金)に発売された『子供に言えない動物のヤバい話』(パンク町田/KADOKAWA)である(電子版も同日配信)。動物のトレーニング施設を運営、動物の専門家として活躍する著者は、動物たちや動物園にまつわるさまざまな“知られざる”実態を明かしてくれる。

◎成人男性をはるかに凌ぐ握力を持つ本当は“ヤバい”チンパンジー

 まことしやかに「じつは怖い」といわれる代表格のチンパンジー。人間と同じく「霊長目ヒト科」に属していることから、私たちとの“親戚”といわれることもある。そしてじつは、屈強なイメージのゴリラと比べると、チンパンジーの方がより凶暴といわれている。

 ひと目見ただけでは、人間よりも小さな体格で愛らしいイメージもある。しかし、体長が1メートルに満たないながらも、握力は300キロときわめて高いのがチンパンジーの実力。成人男性の平均がおおむね50kg程だとされることからも、私たち人間ではとうてい太刀打ちできないのが分かる。

 実際、100年以上前のイギリスではチンパンジーと闘犬用のブルテリアが戦うギャンブル「エイプベイティング」が行われていたという話もある。勝負は五分五分なものの、時にチンパンジーは闘犬を力でねじ伏せ、のど元に喰らいついたというから、想像するだけでも“ヤバい”というのが伝わるだろう。

◎じつはレンタル? 上野のジャイアントパンダは年間1億円以上の経費

 今月2日、上野動物園で2頭のジャイアントパンダの展示が再開されて話題となった。いつの時代も動物園の人気者なイメージであるが、じつはこのパンダは、中国から“レンタル”されたものであるのはご存知だろうか。

 本書によれば、上野動物園で飼育されているリーリーとシンシンは2頭で年間95万ドルの10年契約。現在のレートだと約1億円以上となるが、これにエサ代が加わると年間でプラス1000万円。このように高額であるという事情から日本では現在、上野動物園の他に、兵庫県の神戸市立王子動物園、和歌山県のアドベンチャーワールドのみでしか見られないという。

 では、なぜそれほど高額にはね上がるのかといえば、野生生物の輸出入を規制する国際的な条約「ワシントン条約」が理由である。同条約には対象種の生息数などを加味した「附属書」と呼ばれるリストがあり、ジャイアントパンダは「学術研究を目的とした取引は可能」となる「附属書I」に分類。

 そのため名目上「保護費用」などでレンタル料が支払われているが、ジャイアントパンダ以外にも、近年は絶対数が減っている種類が増えたことから動物の値段はますます上がっているという。

◎人気者たちがいなくなる? 動物園にも迫る「2030年問題」

 医療やコンピュータなど、最近では様々な分野で「2030年問題」が取り上げられている。そしてじつは、動物園もその例外ではないという。

 その理由は、先ほどもふれたように動物たちの値段がはねあがっていることにある。さらにその先の未来を考えると、ゾウやゴリラ、キリンなどの人気者たちも年齢を重ねるわけであり、2030年頃には「人気の動物たちが動物園にいなくなるかもしれない」と著者は危機感を募らせる。

 本来、動物園は単純な娯楽施設ではなく、展示された動物たちを通して“学べる施設”としての役割もある。

 例えば今ならば、動物園でゴリラを見かければ「ほとんど人間と変わらない」といった驚きや発見も生まれるが、この先もし状況が悪化するなら、絵や写真のみで単なる「大きなサル」と認識されるのみになってしまえば、本書からのメッセージ「本物を見て何かを感じること」の大切さが失われてしまうかもしれないと著者は主張を続ける。

 さて、内容を一部から紹介したが、本書はタイトルでパッと目を引く「ヤバい話」が主題ではないと最後に付け加えておきたい。檻に囲まれた動物たちをむげに「かわいそう」と言うだけでもなく、人間にとって、動物園で暮らす動物たちから何を感じ取るべきかが伝わってくる一冊である。本書を読めば明日にでもきっと、動物園へと足を運びたくなるはずだ。

文=カネコシュウヘイ



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