子どもが緊張していたら、何と声をかけるのがベスト?

出産・子育て

公開日:2017/3/17

『本番に強い子の育て方』(森川 陽太郎/ディスカヴァー・トゥエンティワン)

 本番前に緊張している子どもがいたら、あなたはどんな言葉をかけますか?「緊張しないで」「落ち着いて」「平常心で」といった言葉で励まし、「大丈夫、全然緊張してないよ」と思いこませることでリラックスさせようとする人が多いと思います。でも、実はこれ緊張している子には、逆効果だって知っていましたか?

『本番に強い子の育て方』(森川 陽太郎/ディスカヴァー・トゥエンティワン)のなかで、緊張しているときは「自分は緊張している」という気持ちを、無視したり否定したりする言葉はNGワードだと紹介されています。「緊張しないで」「落ち着いて 」「平常心で」といった言葉は、感情を押し殺せといっているに等しい言葉。気にしないと思えば思うほど、気になってしまうのと同じように、自分の感情を無視しようと思えば思うほど、そればかりに気をとられてしまうようになってしまうのです。

・「本番」に限って、自分の本来の力が発揮できない。
・「本番」が近づくにつれ、気持ちが不安定になる。
・「本番」が怖くて、逃げてしまう。
・「本番」に集中できない。
・「本番」までモチベーションが維持できない。

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 子どもたちは、学校行事、スポーツの試合、受験など、さまざまな「本番」を経験します。しかし、子どもたちの中には上記のような「本番に弱い子」たちもいて、「普段通りの力を出せればうまくいくはずなのに」と、見守る親御さんとしてはもどかしい気持ちになってしまうこともあるでしょう。本番でちゃんと実力を出せるように、「本番に強い子」になるにはどうすればいいのでしょうか?

 著者である森川陽太郎さんは、本番で実力を出すための「OKラインメンタルトレーニング」という独自のトレーニング方法で、受験やスポーツ、コミュニケーションなど、さまざまな分野で子どもたちにメンタルサポートを行ってきました。同書では、子どもが自信をもって本番で力を出せるように、緊張と上手に付き合う方法や、お母さんやお父さんが子どものためにできることが紹介されています。

◆緊張はむしろ気にするほうがいい

 本番に強い子に育てるには、まずは緊張するという感情を素直に認めて受け入れることです。それが、本番で実力を発揮するための第一歩だと著者はいいます。緊張することは悪いことだと思いがちですが、そんなことはありません。本番に強いか弱いかは、緊張するかしないかではなく、緊張した状態でも実力を発揮できるかどうかです。本番に強くなるためには「ドキドキする」という子には「ドキドキするね」と、緊張しているという感情を共感してあげること。そして、そういった感情と向き合いながら、「緊張するけど、できた」「焦ったけど、できた」という成功体験を積み重ねていくことが大切なポイントなのです。できるという達成感、それが自己肯定感を育てて、「緊張してもできる!」という自信に繋がっていくのです。

 子どもが本番で実力を発揮できるかは、身近な大人たち、お母さんやお父さんの声かけやかかわりが大きな影響を与えます。励ますつもりが、逆にお子さんを追いこんでしまわないように、ぜひ本書を手にとってほしいと思います。適切な声かけの仕方など、数多くの事例を挙げて具体的に紹介されているので、みなさんすぐに実践できますよ!

文=なつめ