ラノベ選びのポイントは表紙と帯?ライトノベルの流行を読み取るマーケティング創作術

文芸・カルチャー

2017/4/3

『ライトノベル新人賞の獲り方』(榎本秋/総合科学出版)

「年間約2200冊」。これは昨年に出版されたライトノベル(文庫本、単行本)の刊行数だ。近年、新規レーベルの参入や、「小説家になろう」や「カクヨム」などのweb小説の文庫化も相次いで増加傾向にある。ラノベ愛好家としては選択肢が増えるのは嬉しい反面で本選びに苦労もあり、あまり詳しくない方にとっては何を読めばいいのか悩んでしまうのではないだろうか。

『ライトノベル新人賞の獲り方』(榎本秋/総合科学出版)は、題名の通り、ラノベ作家を志す人に向けた創作指南本だが、いままでの創作術やノウハウ本とは違い、マーケティング調査と分析を重視している。新人賞を獲って作家としてデビューするには、文章力やオリジナリティも大切だが、時代のトレンドを読み取る力が欠かせないという。

本書では、書店に並ぶラノベ作品から現在の流行や、レーベルの傾向を読み取る方法を解説しており、ひいては膨大な数のタイトルから自分好みの本を探し出す方法が見えてくる。

例えば、ライトノベルの表紙には多くの情報が詰まっている。表紙に描かれているキャラクターの人数やビジュアルを見てみよう。少女向けであれば主人公とその相手が描かれていることが多く、恋愛要素が押し出されていることがわかる。少年向けだとヒロインが一人だけであったり、主人公とペアで描かれていたり、ラブコメなら女の子に囲まれていたりと作品ごとに様々なパターンがあるという。

異世界ファンタジーであれば剣を持っていたり、学園ものなら制服を着ていたり、SFなら機械的なガジェットやロボットが映っているだろう。背景に幻想的な光景が広がっていたらファンタジー系かもしれないし、爽やかな青空をバックにしているなら青春や恋愛をテーマにしているかもしれない。白抜き背景であれば人間関係にスポットを当てた作品かもしれない。

表紙は人気イラストレーターが描いているからすべて魅力的になるというものではない。キャラクターの元となる要素や、背景となる世界観など作中の雰囲気を象徴したデザインになっているからだ。

ライトノベルの表紙からは、キャラクター、世界観、テーマを読み取ることができる。店頭に平積みされている他の作品と比較してみれば、作品ごとのアピールポイントがはっきりする。

表紙と同じくらい重要なヒントになるのが、本の帯だ。通常、本の帯には30文字程度のキャッチコピーが書かれている。物語のストーリーを要約したテーマであり、作品の一番の売りとなる部分だ。

また本の帯は広告としても機能している。新人賞で大賞を受賞した、人気ランキングで1位になった、アニメ化や劇場化するなど、作品についてのニューストピックスが載っているので、どの作品が人気なのか、売れているのか一目瞭然だろう。

その他、ポスターやPOPなどの販促物からも、出版社がどの作品を売り出していきたいのか、目指していく方向性が読み取れる。作家志望なら、自分の作品にあった出版社に応募すればいいわけだし、ただの読者であれば表紙や帯のキャッチに引かれた作品を手に取ってみればよい。

本書はこのようにマーケティングの参考にもなるが、本質はやはり指南書である。こうした分析をもとに1冊の作品を完成させるまでには、さらに長い推敲作業が待っている。ただ読んでいるだけでは気づかない細部の作り込みや配慮に感嘆させられる。

ライトノベルの作り方を知ることで、ライトノベルを読むときの気持ちまで違ってくる気がした。

文=愛咲優詩