臨終の直前、あなたは何を体験するのか? 50年にわたり臨終に立ち会ってきた医師が語る「臨終」の不思議と真実

ライフスタイル

2017/4/4

『臨終の七不思議』(志賀貢/三五館)

 人はいつか死ぬ。自分がそのときを迎えることを想像すると、不安で落ち込んでしまう人がいるかもしれない。

 臨終は決して恐怖に満ちたものではない、と述べるのはAmazonランキング「死生観」カテゴリベストセラー1位(3/14時点)の『臨終の七不思議』(志賀貢/三五館)。著者は50年間、患者と接してきた臨床医。臨終の実際を知ることで、死の不安や恐れが軽減するはずだという。

 臨床医は、臨終の赤信号をどのように判断するのか。本書によれば、臨終が迫っている患者は人が恋しくなり、医者や看護師たちに「そばにいて」「手を握っていて」「抱きしめて」と甘えるようになり、「家に帰りたい」「美味しいものが食べたい」などと幼児性のある言動が目立ってくる。

 また、危篤状態になると、口数が減り、「見当識(けんとうしき)」と呼ばれる、時間や場所や自らの社会的立場などの判断がつきにくくなるようだ。したがって、臨床医は患者が辻褄の合う話ができるか、現在自分が置かれている状況が十分に認識できているか、感情の安定が保たれているか、などを観察することで、臨終が近づいているかどうかを見抜くという。

 あなたに臨終が迫ったとき、あなたは何をしてほしいと感じるだろうか。臨終が迫った家族は、あなたに何をしてほしいと願うだろうか。

 本書によれば、それは「声を掛け続けること」。

 本書は、病気や事故で心停止が起こった場合、救急治療によって蘇生した人の約4~18%に臨死体験が見受けられた報告を挙げ、さらにその臨死体験が「誰かが耳元で名前を呼びかけてくる声がよく聞こえていた」といった内容が多くを占めていたことに注目している。5人に1人が、声を聞いている。

 心臓が完全に停止してから脳は約4分で酸欠状態に陥り、脳細胞が死滅する。言葉や音声を聞き分ける脳の聴覚中枢は側頭葉にあるが、前述の証言から、聴覚中枢の脳細胞は脳の中で最後まで生き続けるのではないか、と本書は推測している。

 臨終間近、耳元で「しっかり」「大丈夫」「がんばって」などと声を掛け続けられることで、死を迎える前のあなたの肉体的・精神的な苦痛、不安が和らぐ可能性が高い。古くから見られる“見送りの技術”は、天国へ向かうための有効なケアだと本書は述べている。

文=ルートつつみ