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映画『美女と野獣』を観る前に要チェック! 竜に変えられた王と、心優しき少女のファンタジーロマンス

『蒼竜(アズファレオ)の側用人(2)』(千歳四季/白泉社)

 今もっとも話題の映画といえば、エマ・ワトソン主演の『美女と野獣』(4月21日公開)。世界でもっとも有名な“人外モノ”――人ならざるものと人間の恋物語のひとつですが、映画を楽しみにしているあなたにおすすめしたいマンガが『蒼竜(アズファレオ)の側用人』(千歳四季/白泉社)。呪いによって竜に姿を変えられた王様と、心優しき側近の少女が織りなす、王国の秘密をめぐるファンタジーです。

 大国アズファレオの玉座には誰にも漏らせぬ秘密がひとつ。それは、王が蒼く雄々しい竜の姿をしていること。神力を授かる代わりに、呪いで姿を変えられているその王の、世話をしているのが少女・ルクル。村の巫女として生まれたものの、できのいい双子の姉がその座を継ぐこととなり、居場所を失った彼女は村を飛び出してきたわけですが、その先で得た仕事が国家機密に関わる竜の世話というから大出世。

 けれども、帰る場所がなくて内気で自分に自信のない女の子、というのは機密を共有するのに実はうってつけの存在。なによりルクルは竜を見ても怖がらなかった、というのが採用のポイント。竜の見た目にも、ユリウスの厳粛な雰囲気にも圧されることなく、民を愛する彼の優しい心根を見抜く彼女は、その丁寧な仕事ぶりで信頼を得ていくのです。

 本作しかり、『美女と野獣』しかり、怖がらない、特別扱いしないというのは、人外モノにおいて外せないポイント。なぜなら人は誰しも、見た目に左右されるものだから。だけどもし、見た目など気にせず本当のその人を見つめることができたなら――自分の本質を誰かに認めてもらえたなら。そう願う人がたくさんいるから、私たちはルクルのような純粋な少女に惹かれるんじゃないでしょうか。

 さらにルクルは、自分の不足を知っている。王のそばにいるからといって慢心せず、不足を補うために努力を続ける。一度居場所を失っているから、与えられた今の職場を守るために、仕事には決して手を抜かない。だからこそユリウスの信頼も勝ち得、大役を任されるようになっていく成長過程に、読みながらあたたかな気持ちになるのです。

 ルクルののどかな優しさに思いがけず支えられるユリウスが、彼女の損なわれた自信を取り戻させてくれる関係性も読みどころのひとつ。正直、竜の姿を怖がらなかったというよりも、怖がるタイミングを失っただけなんじゃないかと疑いたくなるほど、のんびり屋で天然娘のルクルですが、その本質を見据えるまなざしが、どうやらユリウスを人間の姿に戻すカギを握っているよう。なぜユリウスは竜の姿をしているのか、その理由もどうやら建前と違う何かがあるようなので、今後の展開には要注目。

 ただ、超イケメンな人間版ユリウスの再登場も楽しみではあるのですが、竜姿の彼があまりにイケメンなので、しばらくは元に戻らなくてもいいんじゃないかな~なんて思っている読者もきっといるはず。優しく、ゆるやかに、2人の旅路を見守っていきたいと思います。

文=立花もも



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