人気アニメ『リトルウィッチアカデミア』の完全新作小説が登場!

文芸・カルチャー

2017/5/2

『リトルウィッチアカデミア でたらめ魔女と妖精の国』(橘もも:著、上倉エク:イラスト、TRIGGER・吉成 曜:原著/KADOKAWA)

2017年1月よりアニメとしてTVアニメが放送され、多くのアニメファンを虜にしている『リトルウィッチアカデミア』。本作品は、魔女育成の名門校「ルーナノヴァ魔法学校」新入生であるアツコ・カガリを中心に、精霊を呼び出すことができるロッテ・ヤンソン、毒物マニアのスーシィ・マンババランなど個性的なキャラクターたちが送る学校生活を描いた物語。TRIGGER制作のこのアニメは、2013年3月に『アニメミライ2013』の一作として劇場公開され、2015年10月には、劇場アニメ『リトルウィッチアカデミア 魔法仕掛けのパレード』も上映されている。

そして2017年4月15日、角川つばさ文庫から『リトルウィッチアカデミア でたらめ魔女と妖精の国』(橘もも:著、上倉エク:イラスト、TRIGGER・吉成 曜:原著/KADOKAWA)が発売された。角川つばさ文庫は、KADOKAWAが出版している子供向け文庫シリーズだが、人気イラストレーターのイラストを使用した名作や、アニメ化、ドラマ化作品などで幅広い層から人気を得ているシリーズでもある。このリトルウィッチアカデミアの新作も、完全オリジナルのストーリー展開となっており、アニメからのファンなら必読だ。

物語は、ルーナノヴァ魔法学校の新入生恒例行事である夜の遠足に行くところから始まる。この学校の教師であるフィネラン先生、アーシュラ先生とともに、「太古から妖精たちが集うと言われている、魔力にあふれた特別な場所」であるドラスの丘へとやってきたアツコたち。この丘は、13種類の聖樹に守られており、妖精王の即位式が行われたとされている神聖な場所。しかし、鳥居のような形の石でできた遺跡「ストーン・ドラス」は妖精の棲み処に繋がっていて、万が一入り込んでしまうと二度と元の世界には戻れないと言われている危険な場所でもある。

そしてそんなドラスの丘を下りたところには、妖精王に唯一心を許す魔女・シーフラが、番人として丘を守りながら生活している。シーフラという名前は代々継承されていて、今のシーフラはたったの6歳、しかも1人で住んでいるらしい。そんな彼女を心配したアーシュラ先生は、様子を窺おうと彼女の住む小屋を訪れたが、返事はなかった。

それを知ったアツコ、ロッテ、スーシィは、彼女のことが気になって小屋へ向かう。そこでどうにか本人に会うことができた3人は、シーフラと一緒に暮らしていた大切な友達・猫のフェオラスと犬のアランがいなくなったのだと打ち明けられた。2匹は、妖精の棲み処へ行ってしまったかもしれなくて――!?

妖精たちは、妖精の棲み処へ勝手に足を踏み入れることを決して許さない。そう言われているのに、アツコは何の迷いもなくストーン・ドラスへ行き、妖精の棲み処に入るため、石の周りをまわり始める。9回まわると、棲み処への道が開くのだ。そしてロッテとスーシィは、文句を言いながらも、何だかんだで彼女についていく。

アツコはほうきにすら乗ることができない、魔法が苦手な落ちこぼれの魔女だ。さらには本当にフェオラスとアランがいるのかも、無事元の世界に戻れるかも分からない。それでも2人を動かすアツコの人望は、ある意味才能だ。アツコは、できないながらもいつも自分を信じて真っ直ぐで、前向きで、諦めない。憧れの魔女「シャイニィシャリオ」のような、人を笑顔にできる魔女になるために。そんな、馬鹿と紙一重とも言えるくらいのひたむきさが、心優しいロッテのみならず、基本的に毒にしか興味のない、やる気のないスーシィまでをも虜にしているのだろう。

アニメ版『リトルウィッチアカデミア』では、そんなアツコの表情の豊さ、飾らない姿をより鮮やかに感じられる。なので、もちろん小説だけ読んでも面白いのだが、まずはアニメを観て各キャラクターの声やテンション、性格、口調、関係などを掴み、そこからこの『リトルウィッチアカデミア でたらめ魔女と妖精の国』を読むことをオススメしたい。TRIGGERらしい、ハイテンションで表情豊かな映像が脳内で再生され、きっと何倍も本作の魅力を感じることができる。ファンとしては、メインキャラだけでなく、ちゃんとサブキャラたちが多数登場しているのも嬉しい。もう、本書の表紙を眺めるだけで、でたらめに猪突猛進に突き進むアツコの姿が、目まぐるしく繰り広げられる物語が、目に浮かぶ。

文=月乃雫