幸せな恋愛・結婚ができないのは「妖怪女子」だから!? 闇落ちしないためにはどうしたらいいの?【ぱぷりこさんインタビュー】

恋愛・結婚

公開日:2017/5/29

『なぜ幸せな恋愛・結婚につながらないのか 18の妖怪女子ウォッチ』(ぱぷりこ/文藝春秋)

 なぜ幸せな恋愛・結婚につながらないのかーー。

 多くの女性の胸にグサリと刺さるであろうこの言葉を冠した『なぜ幸せな恋愛・結婚につながらないのか 18の妖怪女子ウォッチ』(以下『妖怪女子ウォッチ』)が絶賛発売中だ。著者はブログ「妖怪男ウォッチ」で、女を不幸にする数多の妖怪男をロジカルにぶった斬り退散させてきた、アラサーOLのぱぷりこさん。同ブログを書籍化した前作『妖怪男ウォッチ』では17種類におよぶ妖怪男の特徴と対処法を紹介していた。

 そして待望の新著『妖怪女子ウォッチ』では、なかなか幸せな恋愛や結婚にたどり着けない18種類の妖怪女子の特性をつまびらかにしている。18種類の妖怪女子は「地蔵の女王」「強欲の女王」「迷走の女王」「妄想の女王」「餌の女王」の5つの属性に分かれており、冒頭のチャートで自分がどこにカテゴライズされるかチェックできる仕様だ。

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 それぞれの妖怪女子を解説した章では、彼女たちの独特な価値観や行動パターン、そしてどんな末路を迎えるのかが筆圧高めに記されている。「まさか自分は妖怪女子じゃない……よね?」と一文ずつ精査するように熟読してしまう本書。執筆の背景やこめられた思いについて、ぱぷりこさん自身に話を伺った。

■サンプル数は1,500以上! 恋愛相談から見えてきた妖怪女子の生態

── 「なぜ幸せな恋愛・結婚につながらないのか」というタイトルからグサリとくる本書ですが、執筆のきっかけを教えてください!

ぱぷりこ「ブログで女を不幸にする妖怪男を分析してきたんですが、ここ最近、女性をウォッチする記事が増えてきていて。そもそも女子校出身だし、ブログをきっかけに恋愛相談を受ける機会も増えてきて、女子のサンプル数の方がぐっと増えてきたことがあります。それで『次は女版を書こう!』と思って執筆を決めました」

── ちなみに、これまで恋愛相談を受けた人数は……?

ぱぷりこ「さっき数えてみたのですが、Twitterやnoteでのお焚き上げ恋愛相談、ask.fm、リアルな友だちを合わせると1,500ぐらいの質問や相談に回答していました。もともと自分の周りには『迷走の女王』と『強欲の女王』ばかりだったんですが、ブログや本をきっかけに相談してきてくれるのは『地蔵の女王』と『妄想の女王』が多くて新鮮でした。以前、「占い師さんに寄せられた相談に勝手に答える」という連載をやっていたんですが、そこはまさに地蔵ワールドでしたね」



── 地蔵ワールド、気になります……!

ぱぷりこ『この片思いは実りますか?』『私の運命の人はどんな顔で、どれぐらいの身長ですか?』と、そんなのわかるか!という受け身でお告げを待つ系の質問ばかりでした。だから「具体的な目標を決めて、スケジュールを切って、行動しろ!」って答えてました。まあ、頼まれもせず勝手にやってるだけなんで、向こうからしたら追い剥ぎに遭ったようなものなんですけど(笑)」

── 追い剥ぎ(笑) 運命の人を待ち続けている人って多いんですね。

ぱぷりこ「『いつかピンとくるはず』ってよく聞きますしね。例えば『妖怪・ピンとくる信仰女子』は、これまで一度もピンときたことがないのに、『いつか必ずくるはず』って信じていることが特徴です。そんなふわふわした状態で目標達成できるわけないだろうと。うまくいくかもしれませんが、それは運がいい人です。運を待ち続けて数年・十数年という人の方がマジョリティです。一方『強欲の女王』は、ハイスペ男を追い求める『妖怪・ハイスペ限定女子』、港区に住んでいる男が大好きな『妖怪・港区女子』と、求めるものがはっきりしているので目標達成できる確率は高いです。ただ、それで幸せになれるかどうかは本人次第ですが……」

■妖怪女子が闇落ちすると、さらに凶悪な『依存妖怪』『呪い妖怪』に……!

── 終章には、妖怪女子から解脱するために「つらい現実をちゃんと認める」「自分の欲望や理想を、キラキラ粉飾せずに把握する」「他人に丸投げせず、自分のことは自分で決める」(本書p.248より引用)という3つの掟が記されていますが……。当たり前のようで、なかなか難しいですよね。

ぱぷりこ「それは重々承知してます。でも、目の前の問題から目をそらしてフタをしても、ただ腐っていくだけ。なかには『時間が解決してくれる』って時間ヘルプ信仰を持っている人がいますがそれは間違い。問題を放置していると、リボ払いのように利息が増えていくだけです

── もし、妖怪女子から解脱できなかった場合、どんな末路が待っているのでしょうか……?

ぱぷりこ「世の中の男性や社会、親を無差別に恨む『呪い妖怪』か、他人に自分の願いを叶えてもらおうと占いや詐欺のカモになる『依存妖怪』に闇落ちするのが王道コースです。年齢を重ねれば重なるほど価値観や考え方はこり固まってしまうので、どんどん解脱するのが難しくなる……」


── 闇落ちせず、幸せになるために一番大切なことはなんでしょうか?

ぱぷりこ「妖怪男本にも妖怪女本にも書いていますが、まずは現実とちゃんと向き合うこと。そして理想と現実のギャップを分析してから行動すること。私自身、何度も闇落ちしそうになってきたのを、分析と行動でねじ伏せてきたので、伝えたいのは『とにかくやれ!』ということだけです」

── ぱぷりこさんご自身も妖怪女子だったときがあるんですか!?

ぱぷりこ「ありますよ! 『私は尊敬できる男じゃないとダメ女子』と『ピンとくる信仰女子』のハイブリッド型でした。ピンとくる人は4年に1回ぐらいしか出会えないので、ピンを待つ間に「自分とは違う考え方をしてる!」と思った人ととりあえず付き合ってみては爆散!! ってパターンばかりでした。親がモラハラコンサル男だったため『普通』の基準値がおかしくて、妖怪男でも『普通では?』と思ってたんですよね。かつ、自分に合う合わないよりも自分の好奇心を優先してたので、恋愛とも呼べない短期恋愛をしつつピンを待ってました」

── そこからどうやって解脱したんですか?

ぱぷりこ「まずアラサーになった時、タイムスパンを考えるとこのやり方だとまずい、なぜこうなったと哲学&内省しました。自分に合う合わないよりも好奇心ドリブンなのが原因だと突きとめたうえで、自分に合う人とはなにかを分析。自分で探すことも続けましたが、自分以外の人間にも頼ることにしました。元キャリアカウンセラーという『人を見るプロ』の友人に、誰か紹介してほしいと伝えたら『条件を3つ出せ、そして優先順位をつけろ。話はそれからだ』と言われました。その結果、最初に勧めてもらった3人のうち1人と付き合って結婚しました」

── すごい……! 「結婚する予定も兆しもない。もはや彼氏すら何年もいない」というとき、まず何をすべきなんでしょう?

ぱぷりこいいパートナーに出会えるかどうかは結局『運』なので、確率を上げることが第一です。量と質の2軸で考えて、そもそもの母数が少なければ量を増やす、ある程度の量をこなしてきたのに結果につながらないなら質を高める。私の場合、出会う量はあったけど質が伴ってなかったので、質を上げる方を選択しました。あとは短期集中で、時間もお金も、最大限のリソースを投下することも重要です。

 中でもいちばん大切なのは『やるだけやった』と自分で納得できるかどうかだと思います。『あのときああしてればよかった』と後悔し続ける人生は、とても苦しいものです。時間は人類には絶対にどうにもできないものですから。どうにもならないもののことを考え続けて苦しむより『私、頑張ったよね』って自分を認めてあげられる方が息をしやすい人生だと思ってます」

■大切なのは後悔しないこと。自分が納得できる人生を歩んでほしい

── ぱぷりこさんも本書のなかでおっしゃっているように、幸せな恋愛や結婚が人生のすべてではないですよね。それがわかっていても、理想のパートナーに巡り会えないだけで不安にさいなまれてしまうのはなぜなんでしょう?

ぱぷりこ「『結婚=幸せ』だとは思っていません。そもそも両親が地獄めいていたし、周りでも結婚してから闇落ちするパターンだってたくさんありますから。ただ人生は長いので『ひとりは寂しい』と思う時はどこかであります。その時、心の拠り所になる何かがあればいいけれど、ひとりじゃなく理想のパートナーがいれば……と思うことは自然なことです。心の拠り所を見つけるのはとても難しいことですし。そんななかで、周囲にカップルや夫婦が増えたり、社会的な外圧にさらされたりすると、マイナスな気持ちになってしまうんだと思います」

── 幸せな恋愛や結婚を目指すうえで、本書はどのように活用できますか?

ぱぷりこ「まずは自分がどの妖怪に近いかをチェックして、現実と向き合うためのきっかけにしてほしいです。ただ、終章にも書いたように行動するか、しないかはその人次第。妖怪だって自分が納得する生き方なら変える必要はありません。ただ、現状に納得していないなら立ち止まってほしいですね。闇落ちはしてほしくないというのが本音です」

── 『依存妖怪』や『呪い妖怪』にはなってほしくないと。

ぱぷりこ「自分が納得していればどんな道を進んだっていい。でも後悔だけはしてほしくないんです。『やらなかった後悔』から逃れるために『依存妖怪』は幸運のツボを買いまくり、『呪い妖怪』は周囲に呪詛を吐き続ける。だから『自分はやるだけやったよね、頑張ったよね』と思えるよう、最大限の努力をしてほしいです」

── 最後に「なぜ幸せな恋愛・結婚につながらないのか」と悩む女性たちにメッセージをお願いします。

ぱぷりこ「私が提示しているのは、正しい方法でも必勝法でもありません。私が書いたのは、フレームワークのひとつに過ぎません。だから合う合わないがあって当然だし、信じろとも言いません。ただ、既存の切り口や考え方で見つけられなかった自分の癖を見つけたり、なにかしらの発見があるならうれしいです。つらい現状から抜け出したいけどどうしたらいいのかわからないというとき『妖怪女子ウォッチ』が選択肢のひとつになればいいなと思います。必要なくなったときは、焚書しちゃってください!」

■幸せに近づくために、現実と向き合う痛みから逃げない!

 ぱぷりこさんが『妖怪女子ウォッチ』を通して伝えている幸せに近付くための方法は「現実から目を背けず、戦略的に行動せよ」というもの。もちろん辛い現実と向き合うことは決して簡単なことではなく、胸にグサリとくる痛みを伴う。でもだからこそ現実的で着実な方法だと言えるのではないか。

「なぜ幸せな恋愛・結婚につながらないのか」と悩む女性たちには、間違いなく一読の価値があると感じた。

取材・文=近藤世菜