男女のことは、すべて落語にあった! 芸歴50周年、紫綬褒章を受章した古典落語の名手・柳家さん喬の初著書

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公開日:2017/6/11

 芸歴50周年、春に紫綬褒章を受章した古典落語の名手・柳家さん喬の初著書『音声DVDで聴ける! 柳家さん喬 大人の落語』が2017年6月8日(木)に発売された。

昔、とある方がおっしゃったんです。
「寄席に行きたいんだけど、周りが笑っていて自分が笑えなかったら恥ずかしい。だから寄席に行けない」
そんなことはいいんですよ、どうでも。自分がおもしろいと思えば笑えばいいし、おもしろくなかったら笑わなくていい。周りを気になさる必要はありません。本文より

 同書は、「寄席に行ったみたいけれど、きっかけがなくて」「誰の落語を聴けばいい?」「人気の噺家さんの落語会は、チケットとれないんでしょ?」… そんな、どこから落語に入ったらいいか迷ってる人におススメの一冊。

 古典落語には日本人のシャレや知恵が詰まっているので、読めば落語が10倍面白く、今日明日がふっとラクになること請け合い。当代きっての名手、柳家さん喬が初めて明かす、純愛、嫉妬、夫婦の情… ままならぬ人生の機微がここに凝縮されている。

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 さらに、人気の長講を録り下ろして特別収録した音声DVD125分付き。泣ける「たちきり」、こわ美しい「鰍沢(かじかざわ)」、年末に欠かせない「芝浜」、珠玉のライブ音声にたっぷりひたれる。

私たち世代の噺家がやることは、きちんととった“出汁”の味を伝えていくこと。そこに何か調味料を加えていくのは、若い世代がやってくれる。ただ、出汁本来の旨味を忘れてはいけないと思っています。いついかなる時代でも、この「出汁本来の旨味を伝える噺家」がいなければ、落語は廃れてしまう。旨味から逸脱する噺家もいていいのですが、基本を守る人を育てていくことも重要なんです。本文より

 落語の世界は、ダメな男もキツい女もすべてよし。独演会は毎度満員御礼のさん喬による同書で極上の“落語体験”を堪能してみてはいかが?

<内容>
第一章【一途・純愛】
幾代餅/◎たちきり/おせつ徳三郎/お若伊之助/雪の瀬川
第二章【女の強さ・男のせつなさ】
宮戸川/白ざつま/紙入れ/◎鰍沢/転宅
第三章【騙し騙され、廓の男女】
品川心中/三枚起請/五人廻し/明烏/お直し
第四章【夫婦のいろいろ】
替わり目/短命/子別れ/猫定/◎芝浜
巻末 さん喬ひとり語り
噺家になるまで/師匠・五代目小さんとの思い出
初高座~好きな噺/弟子との関係/やっぱり寄席が好き
※◎印は付録DVDに音声収録

柳家さん喬(やなぎや・さんきょう)
1948年8月4日、東京都墨田区本所吾妻橋に生まれる。歩いて5分のところに当時の大歓楽街「浅草公園六区」があったため、幼い頃から寄席や演芸場に連れられて育った。1967年、中央大学附属高等学校卒業後、のちに人間国宝となる五代目柳家小さんに弟子入り。前座名は「小稲」で、1968年初高座。1972年、2つ目に昇進、「柳家さん喬」と改名する。1981年、真打昇進。2017年、芸歴50周年を迎えた。古典落語を本分とし、とくに人情噺に評価が高いが、実は軽やかな落とし噺も得意。年間800回以上高座に上がり、ますます円熟味を増している。艶のある声と濃密な表現で、情景や人間心理を巧みに描き出す。男女の細やかな機微を鮮やかかつ丹念に浮き彫りにする色気のある高座には、右に出る者がいないと言われる。米国をはじめ、ヨーロッパやアジア各国においても、落語を通して日本語表現や日本文化の理解を深める活動を継続。平成24年度芸術選奨文部科学大臣賞(大衆芸能部門)他、受賞多数。平成28年度文化庁文化交流使。2017年春、紫綬褒章受章。落語協会常任理事。柳家喬太郎を筆頭に、11人の弟子をもつ。

※掲載内容は変更になる場合があります。