何を「しない」子育て? 吉田尚記アナとアドラー心理学の専門家がママの「困った」を解決!

出産・子育て

2017/7/7

『アドラー式「しない」子育て』(向後千春、吉田尚記/白泉社)

 子どもと買い物に行ったとき「これ買って~」「ダメよ」「やだ、ほしいよ~」と子どもがジタバタ。子育て中にありがちなシーンだが、ママとしては「躾」をちゃんとしたいし、「周囲の視線」も気になるしでホントに悩ましい。

 あるいは、仲良く遊んでいたはずの子どもたちがケンカになってしまう、これもよくある困ったシーン。心配だけど子どものケンカに親があんまり口出ししても…となかなか介入が難しい。

 このほど登場した『アドラー式「しない」子育て』(向後千春、吉田尚記/白泉社)は、そんなよくあるママの「困った」にヒントを与えてくれるかもしれない。育児に悩むママとアドラー心理学の専門家が「座談会形式」で悩みを解決していくというこの本、実際に取り上げられているお悩みが「息子がパパを嫌がります」「お姉ちゃんが双子の妹の片方だけかわいがります」「子どもの同士のけんか。親はどうすれば?」「姉妹のほめ方のバランスに悩んでいます」など、身近なものばかりだからだ。

“オープンカウンセリング”が効果的!

 アドラー心理学においては、同じ悩みを持つ人を集めてオープンに体験を語り合う“オープンカウンセリング”という手法が「(悩みの)深刻さを落とせる」と人気で、この本もそれに倣っての座談会形式。専門家の向後千春先生の迷いのないきっぱりとした助言に、ニッポン放送アナウンサー吉田尚記さんがパパ目線で語るという絶妙な合いの手が加わり、最初は深刻だった相談者のトーンも次第に軽く、最後は笑顔が漏れる感じになっていくのがいい。近頃アドラー心理学の子育て本は多数あるが、本書はいわゆる「解説本」ではなく、リアルな「ケーススタディ集」といった感じ。「アドバイスでどう変わったか」とママの後日談も参考になる。

コストコみたいなお店で練習!?

 ちなみに冒頭にあげた2つのお悩み。向後先生によれば、自立を重んじるアドラー心理学には「優しくきっぱりと」という育児の原則があり、お店で地団駄を踏むようなときには、「今日は買えません。ずっと暴れていますか、それとも泣き止んで一緒に帰ってごはんを食べますか」ときっぱり選択肢を与えるのがいいとのこと。怒らず叱らず、本人の意志を尊重してあとは根比べ。親も覚悟を決めて、子どもがたとえ地団駄踏んで疲れて帰る事になっても我慢。子どもだってイヤな体験は一回でもすれば避けるようになるし、「駄々をこねても平気なくらい広い、コストコみたいなお店で練習(笑)」(向後先生)だ。

問題の本質は「子ども」? それとも「親」にある?

 また、アドラー心理学には「課題の分離」という考え方があり、問題の本質が子どもの課題なのか親の課題なのか分けて考える。それに従えば、友達とのケンカの結末は当事者に関わることであり、基本的には子どもの課題。親としては「無関心ではなく、きちんと見ている。でも、危なくない限り放っておく」(向後先生)しかないという。

 …と、こうズバッと結論だけ書いてしまうとニュアンスが伝わりにくいが、実際にはこうした助言が座談会の和やかな雰囲気の中、相談者の実情にあわせて繰り出されるので、どうしても教えられる一方になってしまう育児本より素直に受け止められる印象。なにより話しながら次々不安が出てくるママにあわせ、「そういう場合はこう」とどんどん話が具体的になっていくので納得感も高い。

 巻末にはお悩み相談をしたママ達がカウンセリングを受けた一年後に後日談を語った座談会の内容も収録されており、興味深い。アドラー心理学の考え方はいろんなケースに応用可能なので、ぱらぱらめくってみれば、あなたの悩みにも解決のヒントが見つかるかもしれない。

文=荒井理恵