出版の未来はここにある!? 元ダ・ヴィンチ編集長が新たに挑戦するクラウドファンディング出版が、熱い!

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/11

 出版不況が叫ばれて久しい現在、元ダ・ヴィンチ編集長が、新しい作家の出版企画をクラウドファンディングでスタートした。発起人は足掛け20年に渡り、本の雑誌『ダ・ヴィンチ』に携わり、10年以上編集長も務めた横里隆である。現在は1人出版社「上ノ空」の代表である横里が惚れ込んだ、無名の新人作家の名前は利光春華(としみつ・はるか)。いま横里は、クラウドファンディングでの先行出版&発売を目指して、利光のビジュアルストーリーブック『Ribbon』を制作している。


 利光春華は出版の世界では無名だが、イラストレーターとしては、TOYOTA、資生堂、ワコール、イオンなど名だたるクライアントから指名されてきた実力派。特に300万部発行された、2017年のTOYOTAカレンダーの美しく可愛らしい世界観は大きな反響を呼んだ。書籍の挿絵や、雑誌『anan』の表紙も手がけている彼女の実力は折り紙付きだが、著者としては初出版となるため、まだまったく無名の存在といっていい。

 そこで、横里が考えたのはクラウドファンディングでの出版。発売前に利光の世界観の魅力をたっぷり紹介することで、ファンを増やし、事前予約で買い手を見つける方法だ。クラウドファンディング出版は、ユーザーが自分に響くコンテンツを見つけて、応援することで、プロジェクトの成否が決まる仕組みである。

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 プロジェクトページでは、制作の様子が公開されたり、途中経過が報告されたりするので、読者は、自分も一緒に本を制作している側に立っている気持ちを味わうことができる。完成した本を買うだけでは味わえない臨場感を体験できるのだ。


 もちろん、設定した期間内に目標金額に達しなければ、企画自体が実現しないこともある。達成状況の進捗は常にオープンで、誰もが知ることができる。支援が集まらなければ形にはならないというシビアな面もあるのだ。

 売れそうだからとか、実績があるとか、そうした理由で本を作るのではなく、たとえ今は無名でも、この作家の魅力をもっともっと多くの人に知ってもらいたい、たくさんの読者に良い本を届けたい、というシンプルで強い思いも、クラウドファンディングの仕組みなら、しっかりと制作側から読者に伝えることができる。それは、商業出版が苦境に立たされているなかで一筋の光明ともいえるものだ。


 横里や制作チーム、応援者たちの熱いコメントで溢れた『Ribbon』のクラウドファンディングページ用の原稿を見て、今回横里が利用したグリーンファンディングの担当者である田村真代は、「制作チームの熱い思いがあふれていて感動しました。なんて純度が高くて、クラウドファンディングらしいプロジェクトなんだろう!と。このページ自体がすでに本の始まりのような気すらします」と語っている。

 8月9日(水)18時よりスタートしている『Ribbon』(利光春華/著)のクラウドファンディング。元ダ・ヴィンチ編集長の新たな挑戦、未来を拓く出版のカタチへの挑戦にぜひ注目したい。

※横里の熱いメッセージが掲載されたクラウドファンディングページはこちら↓

GREEN FUNDING by T-SITE(グリーンファンディング)/
「イラストレーター利光春華の初書籍『Ribbon』をたくさんの人に届けたい!」
プロジェクト終了日:2017年10月31日(火)23時59分
https://greenfunding.jp/lab/projects/1947