古代歴史文化をわかりやすく解説! 「第5回古代歴史文化賞」大賞は小畑弘己の『タネをまく縄文人 最新科学が覆す農耕の起源』に決定

文芸・カルチャー

2017/11/21

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 「第5回古代歴史文化賞」の選定委員会が2017年11月1日(水)に開催され、大賞に小畑弘己の『タネをまく縄文人 最新科学が覆す農耕の起源』が選ばれたことがわかった。

 「古代歴史文化賞」は、古代歴史文化に関する優れた書籍を表彰するために設立された賞のこと。第5回目となる今回、高田貫太の『海の向こうから見た倭国』、海野聡の『古建築を復元する 過去と現在の架け橋』、松本直樹の『神話で読みとく古代日本-古事記・日本書紀・風土記』、吉田一彦の『「日本書紀」の呪縛』といった作品が優秀作品賞に選ばれ、『タネをまく縄文人 最新科学が覆す農耕の起源』が大賞に輝いた。

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<『タネをまく縄文人 最新科学が覆す農耕の起源』選定理由>

本書は、土器に残る圧痕を型取りし、押しつけられたものを復元することで、植物のタネや昆虫など、遺物として残りづらく、発見しづらいものが縄文時代に存在したことを明快に証明しました。その成果として、従来の研究法では証明が難しかった、縄文時代におけるアズキやダイズ、アワ、キビ、イネなどの栽培が有力な仮説として浮かび上がってきました。さらに昆虫の生態など関連する自然科学について踏み込んで言及し、従来の遺跡調査の結果を合わせ学際的に研究を進めることで、当時の集落の大型化や人口の増減、また日本人にとっても関心の高い稲作の開始などについても仮説を提示しています。本書は、新しい視点や方法・技術に基づいて資料を観察することで、歴史研究に新地平が開かれる可能性を示したものであり、古代歴史文化賞大賞にふさわしい作品といえます。

<『海の向こうから見た倭国』選定理由>

古墳時代の日韓交流について広く資料を集め、朝鮮半島・日本列島ともに、地方それぞれの様々な階層の人々が交渉に参加していたという新しい日韓関係史を提示し、日本列島の国家形成の段階についても再検討すべきであると提言を行っています。最先端の古墳時代における日韓交流の知識を得ることができる1冊であり、優秀作品賞にふさわしい書籍です。

<『古建築を復元する 過去と現在の架け橋』選定理由>

古代の木造建築をどのように復元するのか、建築の基本構造を説明しながら、その過程を紹介した書です。特に遺跡の発掘調査からもたらされる情報からどのように建築が復元できるのかなど、総合的に古代建築を紹介している点が特徴です。復元学を提唱し、過去の復元の事例や復元研究のもたらす可能性についても触れるなど、今後の古建築研究についての一つの方向性を示した作品であり、優秀作品賞にふさわしい書籍です。

<『神話で読みとく古代日本-古事記・日本書紀・風土記』選定理由>

『古事記』『日本書紀』のみならず『出雲国風土記』についても言及するなど、古代日本の神話を総体として検討し、建国神話について各地にあった信仰を統一する役割があったとして、その歴史的な意義に言及する点が大きな特色です。難解になりやすい個別の神話の要素や意味、『日本書紀』神代巻の構成などについて丁寧に紹介しており、学術的基盤に立って日本の神話について知ることができる、優秀作品賞にふさわしい書籍です。

<『「日本書紀」の呪縛』選定理由>

最初の正史である『日本書紀』について、その成立過程や内容のみならず、その影響力の大きさについて古代を中心とした広い時代の枠組みから総括的に論じている点が本書の特徴です。書物に記された歴史から離れて自由に発想することの大切さ、歴史資料そのものに対する研究の重要性を喚起するなど、歴史を学ぶ姿勢についても触れており、優秀作品賞にふさわしい書籍です。

 「古代歴史文化賞」は、学問的基礎の上に立ちながらも、わかりやすく書かれた書籍が表彰される。この機会に大賞及び優秀作品賞を一読してみてはいかが?

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