84人のベッドルームを天井から覗いた写真集! 個性的な寝室に世界の縮図を見る

社会

公開日:2018/3/28

『My Room 天井から覗く世界のリアル』(ジョン・サックレー/ライツ社)

 あるフランス人写真家が6年かけて世界中を旅し、55ヶ国のベッドルームを天井からのアングルで撮影したなんとも風変わりな写真集が発売されている。
『My Room 天井から覗く世界のリアル』(ジョン・サックレー/ライツ社)は、格差、矛盾、将来の夢、過去の歴史……世界中の「違い」を「同じアングル」からあぶりだした壮大なドキュメンタリー作品としても興味深い一冊だ。

▲初めて写真を撮った部屋(イングランド)Penny

▲仏の道で修行する部屋(ネパール)Pema

 ロンドンで銀行員として勤めるPennyは、ハイヒールや旅の本に囲まれながら部屋の中央でカメラを見上げている。一方、ネパールの仏教徒Pemaの部屋は一見程遠い印象だ。だが若者ならではの「部屋の小ささ」は共通なのが興味深い。
 著者が撮影の条件としたのは2つ。「部屋の真ん中」で、天井から吊ったカメラを「見上げて」ほしいということ。この定型ショットはトレードマークとなり、共感を呼んで、参加者はSNSなどを通じて世界中からあっという間に多数集まったそうだ。
 この写真集は、手に届きそうに見えるのに、「ベッドルーム」という秘密に囲まれた“見えないもの”を、改めて気づかせてくれる。

▲銃のコレクションがある部屋(アメリカ)Ben

▲ペルシアの画家の部屋(イラン)Elahe

▲伝統的プロレスラーの部屋(メキシコ)King Warrior II

▲紛争の歴史と活きるジャーナリストの部屋(レバノン)

▲最後の遊牧民の部屋(カザフスタン)

▲イスラム教徒のお手本部屋(サウジアラビア)

 この本に出てくる小さなサンプルたちは、私たちに何を教えてくれるだろう?
 著者はこう語っている。「他者を見ることは、あなたを振り返ることを意味するだろう」と。
 本書のページをめくりながら、今この同時代に世界で生きている若者たちの気持ちに、遠く想いを馳せてみてはいかがだろうか。それはあなた自身を振り返ることにつながるかもしれない。

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▲ドバイの富豪「エマラティ」の部屋(UAE)

▲ロリータファッションの部屋(日本)