島耕作の“最強の武器”とは?

特集番外編2

2018/6/6

島耕作の“最強の武器”とは?

編集T

「サラリーマンなんてのは いくら実力があっても上に行けない人もたくさんいるし その逆もいる 俺はタイミングと運がよかっただけだ この運を与えてくれた神様に感謝する」
『専務 島耕作』STEP56 より

 専務時代の島耕作が初芝電産の社長に任命された後の、娘との会話からの抜粋です。この言葉には「島耕作」というひとりの人間の本質があらわれているように思います。

 マンガ界に輝く名作に登場するヒーローたちは、人並みはずれた才能や能力を武器に大活躍をして読者を夢中にさせてきました。そういう意味ではこの「島耕作」に備わった最大の武器は≪運≫だといって間違いないでしょう。上記の通り、本人も重々にそれを自覚しています。

 ただ、ひと口に≪運≫といっても、それは、大企業の「会長」にまで上りつめた昇進の軌跡のことではありません。むしろ、その裏で繰り広げられてきた数々の大ピンチや失態、そこからの復活劇こそが、島耕作が圧倒的な≪運≫を発揮してきた瞬間でした。

 派閥争い、謀略、パワハラ、裏切り、女性関係のスキャンダル、果てには誘拐や殺人未遂まで……。島耕作はこれまであらゆる種類の危機に見舞われてきました。実は、昇進の数に匹敵するほどの左遷も経験をしているのです。

 しかし彼は、そんな時には必ず前を向いて、状況を受け入れながら、地道に自分の最善を尽くそうとします。地方に飛ばされても腐らず、裏切られても人間を愛し、何度スキャンダルを食らっても女性を信じる。そんな彼の気っ風の良さが、新たな出会いを生み、結果としてチャンスを呼び込みます。島耕作の≪運≫の良さとはつまるところ、人並み外れたプラス思考に他ならないのです。

 だからこそ、ひとりの男の出世物語がこれほどにまで多くの人々に共感され、元気を与えてきたのではないでしょうか? 『ダ・ヴィンチ』7月号の特集「人間・島耕作の半世紀」では、成功と共に彼の「失敗」の歴史も追いかけていきました。

 思い通りにならない、嫌気がさすようなことばかりの現実でも、それでも「前向きに頑張れば、いい事あるかもよ」と、そんな「島耕作」シリーズに通体するメッセージも一緒にお伝えできれば嬉しいです!

≪「祝・連載35周年 人間・島耕作の半世紀」特集コンテンツ≫

・人間・島耕作の「喜・怒・哀・楽」
・35年の連載を振り返る! 島耕作クロニクル
・なぜ彼は会社/異性から求められるのか?
企業人/恋人・島耕作
・後世に遺したい、「島耕作」シリーズ名&迷シーン
・弘兼憲史インタビュー&密着! 弘兼メシ