廃墟の聖地を約4半世紀に渡って記録! 世界文化遺産・軍艦島の全容に迫る

暮らし

2018/6/28

 廃墟の聖地である長崎県・軍艦島の写真集『世界文化遺産 軍艦島』が、2018年4月16日(月)に発売された。

 2015年に世界文化遺産となった長崎県の軍艦島(正式名称「端島」)。明治期から昭和にかけて、海底炭鉱で大いに栄えた島として知られている。かつては海岸線の全長がわずか1.2kmという狭小な島に5,000人以上の住民が暮らし、世界一の人口密度を誇った時期もあったが1974年に閉山。今は無人島となり、廃墟と化している。

 同書では長崎市の特別許可のもと、世界でも類を見ない廃墟の聖地・軍艦島を1994年から約4半世紀に渡って撮影。2度と見られない景観とともに、生々しい崩壊への痕跡が記録されている。無人となった幾つもの住宅の扉を開けると、そこには家族の営みが刻まれた壁や柱の姿が。長い歳月と風雨に晒された木枠の窓は、僅かに残るペンキの紅色が希少な美を発光させて輝いている。朽ちていくものたちの声に耳を傾けるようにして撮影された写真に、思わず心を打たれるはず。

 著者は鬼才・小林伸一郎。日本中を旅し、廃墟をモチーフに撮影してきた廃墟写真の第1人者だ。そんな小林にとっても、軍艦島は“廃墟行脚の聖地”。床に散乱する置き去りにされたものたちを亡骸としていとおしみ、大切に記録した作品だと語っている。

 長崎市は2018年から30年計画で島内の整備、建造物の保存修理に着手している。現在の島内には遊歩道が設置され、1部のエリアで見学ができるようだ。2016年には上陸者数が100万人を突破した軍艦島。非公開区域の全容を収めた写真集に、多くの人が魅了されるだろう。

小林伸一郎
1956年、東京生まれ。専修大学経済学部卒業。スタジオ、出版社カメラマンを経て、1988年、株式会社スタジオライズを設立。1991年に平凡社準太陽賞、1994年にコニカ写真奨励賞、1997年に東京国際写真ビエンナーレ・キヤノン賞、2007年に講談社出版文化賞を受賞。1991年から日本のスクラップ&ビルドをテーマにした作品を発表。写真集に『Tokyo Bay Side』『AMERICAN TWINS』『廃墟遊戯』『人形 HITOGATA』『廃墟漂流』『廃墟をゆく』『JAPAN NEW MAP』『NO MAN’S LAND 軍艦島』『亡骸劇場』『東京ディズニーシー』『最終工場』『海人』『HACHINOHE CITY』『神様 OH MY GOD!』『島波 瀬戸内景』がある。作品は東京都写真美術館、東京工芸大学、なかた美術館、シャネル株式会社へ所蔵されている。

※掲載内容は変更になる場合があります。