「英語やんなきゃ」って思わないのが一番大切。 してほしいこと、してほしくないことをちゃんと伝えるだけで旅行は楽しくなる

英語が苦手で、ついつい笑顔でごまかしてしまう…。言いたいことがあっても、なかなか言い出すことができない…。いつのまにか、ヘンテコな買いものをさせられてしまった…。トラブルは海外旅行に付き物ですよね。こんな時、どうすればいいの？
海外旅行の達人であり、「マヌー式海外旅行トラブル会話術」の著者でもある山下マヌーさんに、快適に海外旅行をするための方法を教えていただきました！

―マヌーさんが考える快適な海外旅行とはなんですか？

快適な海外旅行というのは、旅行に期待しないということ。旅行に期待するから、裏切られたときに「なんだよ」となってしまう。行く前に情報を仕入れすぎて、情報にしばられてしまうんです。ガイドブックに載っているお店の情報を見つけて「地図どおり行けた！」ということが喜びになってしまいますけど、それはどうなのかと思うんです。ガイドブック通りに行って、期待を裏切られることも多いじゃないですか。そういった旅行よりも、快適な旅行というのは、自分が着心地のいいいつもの洋服を着て、いつも使っている道具を持って、フラっと旅に行ってそこで好きな事をするというものだと思います。何をやりたいかを決めて、ホテルをとり、あとは自由にというのが一番快適な旅だと思うのです。そもそもOFFなんだから、やりたいことをやる。VACATIONという言葉は「VACANCY＝空っぽ」という意味。なのに「OCCUPY＝詰め込んで」行く人が多い。一言でいうと、スケジュールに追われないスケジュールレスな旅行が一番快適ではないかと、そう思うんです。

―自由になれば、それだけリスクも出てきますよね。

そうですね。だからお守りが必要なんです。お守りとは「ケータイ」と「保険」と「言葉」です。ケータイは当然連絡手段として、保険はその名の通り保険として入っておく。自分がどのような保険に入っているのか、ちゃんとチェックしておいた方がいいでしょう。言葉は自分を主張するための道具のようなものです。旅行するんだったら、最低限忍ばせておきたいものです。そういう思いもあって、この「マヌー式海外旅行トラブル会話術」を書いたのです。

―「マヌー式海外旅行トラブル会話術」とは、どのような本なのでしょうか？

自分自身の過去の渡航経験から、実際に遭遇したありがちなトラブルと、そこからの脱出ワンポイント会話術を紹介した一冊です。教科書英語や観光客英語ではないフランクな感じの話し方を集めたつもりです。ただし、「英語やんなきゃ」って思わないことが一番大切で、この本に関しても、「この程度でいいんだ」と思ってもらえれば、それでいいんです。そして、この本に載っているようなトラブルが起こりえるということを知っておくことが大事だと思っています。言葉の本ではありますが、海外で起こりえるトラブルや事件を想像してもらうための本でもありますから。

―言いたいことは言うことが大切だと書いてあります。

日本人にとっては、言わないことが美徳で、奥ゆかしいということがありますけど、「奥ゆかしい」という言葉は世界中どこにいってもないと思うんですよね。どう訳していいか分からないし…。世界標準からすると、それは違うんです。それを覚えておかないと、海外では相手にもされません。

―そういうときに、ちゃんと喋ろう、発音をしっかりしようと思ってしまうんですが…。

子供って「ダメ」って覚えますよね。英語なら「NO」。初めはそこからでいいと思います。自分がしてほしくないことに「NO」と意思表示をする。声をかけられた時もそう。イヤならはっきり「NO」という。よく分からないからといってニコニコしているから危ない目にあうんです。反対に、何かしてほしいときは「Can I ～ ?」だけでいいんです。実際、「Can I ～ ?」だけで一週間過ごす特集をある女性誌で企画したことがありますけど、実際できるんですよ。旅行中に英語を使うシーンなんて、ホテル、飛行機、食事、買いものくらいじゃないですか。「Can I check in ?」から始まって「Can I check out ?」や、「Can I water ?」でも「Can I juice ?」でもいいわけです。だから、別に上手く喋ろうとしなくていいんです。「Can I ～ ?」と「May I ～ ?」で十分旅行は楽しくなりますよ。生活のなかでは、相手の言うことを聞くことも必要ですが、旅行においては、自分がこうしてほしいと伝えることの方が重要です。

―最後に読者のみなさんに一言お願いします。

この本が必要にならないことを願ってます。あくまでお守りですから！