生きづらさは、心の発達課題が鍵に! 子どもに寄り添い続けてきた名医の育児指南書『子どもの心はどう育つのか』

出産・子育て

公開日:2019/11/1

『子どもの心はどう育つのか』(佐々木正美/ポプラ社)

 不登校、引きこもり、うつ、摂食障害…。生きづらさは、心の発達課題が鍵となる。2019年10月9日(水)、今は亡き児童精神科医・佐々木正美氏の育児指南書『子どもの心はどう育つのか』(ポプラ社)が発売された。子どもの心に寄り添い続けてきた名医の“幻の名著”復刊に、早くも多くの反響が寄せられているようだ。

 新潟大学医学部卒業後、ブリティッシュ・コロンビア大学児童精神科、東京大学精神科、東京女子医科大学小児科、小児療育相談センターなどを経て川崎医療福祉大学の特任教授を務めた佐々木氏。彼は臨床医としての活動のみならず、地域の親子との学び合いにも力を注いでいた。またアメリカから日本に自閉症を持つ人々のための支援プログラム「TEACCH(ティーチ)」を紹介した実績を持ち、その傍らで『子どもへのまなざし』(福音館書店)『子どもの心の育てかた』(河出書房新社)『子育てのきほん』(ポプラ社)など育児に関する数多くの書籍も手掛けている。

 そして今回の『子どもの心はどう育つのか』では、アメリカで最も影響力のあった精神分析家の一人であるエリック・H・エリクソンの“ライフサイクル論”をベースに、佐々木氏なりの発達・成熟段階の考え方を展開。佐々木氏が“子どもを見守る大人たち”にどうしても伝えたかったことを、彼らしい言葉で紡いだ一冊だ。

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 子どもは0~2歳は信頼、2~4歳は自律、4~7歳は積極性など、その年齢に適した発達課題がある。その課題を果たせなければ、未熟な心のまま引きこもりやうつなどの原因になることも。佐々木氏は“子どもの心の成長を正しく理解すること、そして、大人になっても、未成熟である部分を自覚することが人間として豊かに生きることにつながる”と説いている。それはまさに、育児への不安を抱えているすべての人の背中を優しく押してくれるような考え方ではないだろうか。

 実際に本書を手に取ったという人からは、「右も左も分からない、育児初心者の不安を払拭してくれる。この本を読んで『自分の考え方は間違ってなかったんだ』と気持ちが楽になりました」「心にスーッとしみ込んでくる。『少し難しめの本かな?』と思ったけど、全然そんなことなかったので良かったです」「親としての務めを再認識させられました」などの感想が上がっている。

 佐々木氏が手掛けた渾身の一冊。興味のある人は、ぜひ一度チェックしてみてほしい。