「どんな境遇の人でも悩んでいい、辛いって叫んだっていい」 西加奈子『i(アイ)』書店ディスプレイコンクール開催中

文芸・カルチャー

2020/2/25

『i(アイ)』(西加奈子/ポプラ社)

 累計29万部を突破した大ヒット小説『i(アイ)』の書店店頭ディスプレイコンクールが、2020年3月31日(火)までの期間で開催中。様々なアイデアを凝らした販促キャンペーンが展開され、ネット上で大きな注目を集めているようだ。

 『i(アイ)』は2019年11月6日(水)に文庫化された、直木賞作家・西加奈子による長編小説。作中ではシリアで生まれ、アメリカ人の父と日本人の母のもとで育てられた女性・ワイルド曽田アイが自身のアイデンティティを模索するさまが描かれている。

 世界中でテロや内戦などの悲惨な出来事が起こり、悲しいニュースがあふれている現代。恵まれた生活を送るアイは、他の誰かではなく自分が“選ばれた”ことに罪悪感を覚えてしまう。しかし親友・ミナとの交流や写真家の男・ユウとの出会いなど色々な人生経験を積んでいった末、新たな境地へと辿りつくことに――。

 物語のメインテーマとなっているのは、誰もが共感できるアイデンティティについての問い。これまでに作品に触れた人からは「価値観や考え方とか、自分の中の色んなものを一挙に揺さぶられる」「アイと一緒に考え、迷い、無力さに涙する。今読んでほしいという感想が一番しっくりきた」「いい作品を読んだなあ、と素直に感じた。こんなにもリアルな葛藤を描けるのか…」「今まで読んだことがないタイプの小説だった」と称賛の声が続出している。

 また芥川賞作家の中村文則は、同書に対するコメントとして「読み終わった後も、ずっと感動に浸っていました。なんてすごいんだろう。この小説は、この世界に絶対に存在しなければならない」と力強い絶賛の言葉を残していた。

 また『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』で数々の賞を受賞しているブレイディみかこは「「i」を探す必要はないし、失うこともない。それはここに在るから。それだけのことを書いた本に胸が潰れそうになった」と推薦の言葉を寄せている。

 そんな同書の魅力を広めるために開催されているのが、今回のディスプレイコンテストだ。書店や書店員を対象とした企画となっており、「#アイディスプレイコンテスト」というハッシュタグをつけて文庫版『i(アイ)』の店頭写真をTwitterに投稿すれば参加可能。参加書店のなかから3つの店舗がグランプリに選ばれる他、ポプラ文庫賞(準グランプリ)や営業部賞(準グランプリ)などの賞も設けられている。

 書店によってはユニークな特設コーナーを作ったり、熱意のこもったポップを掲示しているところも。「明文堂書店富山新庄経堂店」のディスプレイでは、「どんな境遇の人でも悩んでいい、辛いって叫んだっていい」といった言葉が手書きで綴られている。

 コンテストの模様が気になる人は参加書店に足を運んでみるか、一度ハッシュタグを覗いてみてはいかがだろう。

「ポプラ文庫『i(アイ)』書店店頭ディスプレイコンクール」詳細はこちら