【ネタバレあり】『ウチカレ』最終話は、わかりやすい“ハッピーエンドにならなかった”!? 同作が描いた本当の幸せとは

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更新日:2021/3/18

ウチの娘は、彼氏が出来ない!!
『ウチの娘は、彼氏が出来ない!!』(北川悦吏子/文藝春秋)

 女優・菅野美穂さんが主演する連続ドラマ『ウチの娘は、彼氏が出来ない!!』(日本テレビ系)第10話・最終回が、3月17日(水)に放送された。人間関係の核心に触れるような描写をめぐり、視聴者からは感慨深く捉える声が多くあがっている。

 このドラマは、かつて「恋愛小説の女王」として名を馳せた恋多き小説家・水無瀬碧(菅野美穂)と、「陰キャオタク」で恋愛に興味ゼロな娘・空(浜辺美波)からなる、トモダチ母娘が繰り広げるラブコメディ。

 第10話で、碧は、空の実の父・一ノ瀬風雅(豊川悦司)から「一緒に沖縄で暮らそう」と誘われる一方、ニューヨークへの異動を告げられた担当編集者・漱石([Alexandros]川上洋平)からも「僕と一緒にニューヨーク来ませんか」と誘われる。2人からプロポーズをされ、突然のモテ期に喜ぶ碧だが、“自分が本当に大切にしたい人”として思い浮かんだのはいつも傍で支えてくれていた幼馴染のゴンちゃん(沢村一樹)。その後、風雅と漱石と別れを選択しこれで晴れてゴンちゃんと… と思いきや、念願の2ショットシーンでは、意外にも、2人並んでたいやきを頬張りながら、仲睦まじく会話するに留まるのみだった。

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 また、一方の空も、“ボーイフレンド”である渉先生(東啓介)に別れを切り出す。「他に好きな人、出来た?」という質問に、空の心には光の顔が浮かんでいた……。そして光との関係はというと、共同制作していた漫画が見事入賞。光が「俺本当は彼女いねえ」と今までウソをついていたことを白状すると、空はツッコミをいれながらも微笑み、嬉しそうに何度も頷くのだった。

 それぞれゴンちゃんや光という“いつも傍で支えてくれる人”の大切さを実感した碧と空。ドラマにありがちな、キスや結婚など“形ある(わかりやすい)ハッピーエンド”を迎えず、関係性わざわざ名前をつけなくても、「大切な人」が誰だか気が付く……といった展開に対し、視聴者からは「無理に関係を作らなくて良い、夫婦じゃなくても恋人同士じゃなくても一緒に(側に)居て安心出来る間柄それが『本当の幸せ』なんだと思います」「まだ関係性に名前をつけられはしないけどこの関係を大切にしたい、なくしたくない、という終わりなのがよかったです」「ノスタルジーなんて名前をつけられて置いていかれるものたち、恋になりきらなかった恋、名前のない大切な関係。ふわふわしていて取りこぼしてしまうものを丁寧にすくって『忘れないで』って教えてくれる物語でした。また一から見たい」「空と光の関係にいつか名前が付くといいな」などと感慨深く捉える声が多くあがっている。

 同性婚や、別居婚、事実婚など、個人によってさまざまな“ハッピーエンド”がある現代。『ウチカレ』は極一例を描くことで、そういった多様性を認めようというメッセージを発信していたのかもしれない。