『ZIP!』熱中症事故で考える、犬の死の受け入れ方

生活

更新日:2012/8/22

 朝の情報番組『ZIP!』の人気コーナー『ZIPPEIスマイルキャラバン』。日本各地を、サモエド犬のZIPPEI兄弟とミュージシャンのダイスケが旅をする……という企画だったが、ZIPPEI兄弟が熱中症に倒れ、死亡。先週末には日本テレビ前に献花台が設けられ、多くの人が追悼に訪れた。

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 ZIPPEI兄弟の愛らしいサモエドスマイルに朝のひとときを癒されてきた人にとって、テレビ越しとはいえ亡くなったことの悲しみは大きいはず。また、実際に犬を飼っている人にとっては、いつか訪れる愛犬の死について、考えるきっかけになっているのではないだろうか。そこで今回は、先立つ犬の死を受け入れるためのヒントをくれる本をピックアップしてみたい。

 まず、紹介したいのは、『またね、富士丸。』(穴澤 賢/世界文化社)。ハスキーとコリーのミックス犬である富士丸は、ペットブログのなかでも大人気を博し、『ひとりと一匹 富士丸と俺のしあわせの距離』(穴澤 賢/小学館)『富士丸おでかけ日和』(穴澤 賢/日経BP社)など、数多くの書籍が発売された有名なわんこ。だが、残念ながら2009年に急死。本書は飼い主であり、“父ちゃん”こと著者の穴澤賢が富士丸の死から1年後に出版したエッセイだ。悲しみに暮れ、苦しみ続ける日々は、読んでいるだけで胸が締め付けられるほど。しかし、それでも“父ちゃん”は、どのようにして死を受け止めたのか……。その過程は、ぜひ本書を読んで確かめてほしい。また、愛情がたっぷり詰まった写真集『富士丸と。』も併せて読むと、犬と過ごす時間の尊さが身に染みて伝わるはずだ。

 7月24日に発売された『クロ日記』(沢野ひとし/本の雑誌社)は、イラストレーターでありエッセイストの沢野ひとしが、ラブラドールの愛犬クロとの生活を綴った画文集。スリッパを噛むクロ、夏の庭を駆けるクロ、昼寝をするクロ……味わい深い絵と淡々とした短い文章が1ページに収められており、まるで絵日記を読んでいるよう。だが、いたずらっ子のクロにも、後半には老いが訪れ、最期の日がやってくる。その静かな筆致に、悲しくも穏やかな気持ちになるはずだ。夜、傍らで眠る犬の寝息を聴きながら読み進めたい1冊である。

 今回、紹介した本は、いずれも飼い主に愛された犬たちが登場する。人間は、犬が幸せかどうかを確かめることができない。だからこそ、犬の正しい知識を持って、たっぷり愛することだけが、飼い主ができるすべてともいえるだろう。

 まだまだ暑い日が続くいま、どうかZIPPEI兄弟の死が無駄にならないよう、まずは犬の熱中症にはくれぐれも要注意。室内では室温調整を行うことはもちろん、外出先で、呼吸が荒くなり大量のよだれを垂らすようであれば、水で身体を冷やすなどの処置を心がけてほしい。