最後まで耐えられる? アニメ『新世界より』、驚愕の“鬱”展開度

マンガ

更新日:2012/10/31

 現在アニメが放送されている『新世界より』。1000年後の日本を舞台に人々が“呪力”と呼ばれる超能力を手にした世界が描かれているSF作品だ。物語は主人公の渡辺早季をはじめ、聡明な少年の青沼瞬、お調子者の朝比奈覚、気弱な伊東守、優しい秋月真理亜ら5人が、全人学級と呼ばれる学校で“呪力”をコントロールしたり、歴史について学ぶところから始まる。最初は班で協力しあって呪力を使った競技をしたり、夏季キャンプに行ったり、ナイトカヌーで星を眺めたりといった楽しげな学校生活を送っていた彼ら。友だちと遊んだり、恋をして学生生活を謳歌する様子は、まるで“和製ハリー・ポッター”のよう。

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 しかし、『新世界より』はここからが本番だ。それもそのはず。ホラー小説の名手とも呼ばれる貴志祐介が手がけているのだから、爽やかなジュブナイル作品で終わるはずがない。見る側が悲しさや虚しさといったネガティブな感情を引き起こしてしまう怒涛の鬱展開へとなだれ込むのだ。『魔法少女まどか☆マギカ』で主要キャラのほとんどがひどい死に方をするという衝撃的な鬱展開を見た人も多いだろうが、『新世界より』にはそれを上回る鬱展開が待っている。

 例えば、全人学級は一見するとのどかでどこにでもある普通の学校のようだが、なぜかここではひっそりと子どもたちが消えていく。初めはいたはずの「大切なあの子」だって、いつの間にかいなくなってしまうのだ。その他の子どもたちはクラスメイトがいなくなったにもかかわらず、まったく気にしない。まるで「その子がいた」という事実すらなかったことのように過ごすのだ。なぜこんな異様な状況で、子どもたちは平然としていられるのだろう? 消えた子どもたちには、一体何が起きたのか?

 また、楽しいはずの夏期キャンプやお祭りも、一転して殺し合いの舞台となる。その戦いは早季たちが暮らす神栖66町全域にまで広がり、敵は毒殺や射殺、爆殺といったありとあらゆる方法で呪力を持った人々に対抗する。それに対して、呪力を持った人々も敵を操って味方同士で殺し合いをさせたり、全身の神経から極限の苦痛を与えるといった残虐な殺し方をするのだ。その大量殺戮の様子は、まるで地獄絵図のよう。

 だんだんと人々の感覚も麻痺してきて、生き物を殺すことに抵抗がなくなってくる。人々が怨みや憎しみ、先に殺らなければ自分が殺られるという恐怖から、殺すことに一種の喜びのようなものを見出していく様は見ていてゾッとする。

 自分の周りの大切な人たちがひとりずつ消えていき、信じていた者に裏切られて疑心暗鬼に陥る早季たち。そして、大切な人たちが自分をかばって目の前で死んでいく姿は、幼い子どもが受け止めるには重すぎる現実だ。助かったと思ったら、息つく間もなく次々と襲い掛かる悲劇の中で、誰を信じればいいのか、何を信じたらいいのかもわからないまま戦うしかない彼らの心境を思うと、こちらまでずーんと気分が沈んでくる。

 そして、作中で流れるドヴォルザークの交響曲『新世界より』の「家路」が、より哀愁をかきたてるのだ。原作では、最後にはもっと驚くべき結末が待っている。果たして、みなさんは最後まで耐えられるだろうか? 今後予想される鬱展開を、今から覚悟しておいたほうがいいかもしれない。