日本にいながら「イギリス風住宅」を実現! アンティーク好き、家好きにオススメの「英国の住まい」

暮らし

公開日:2022/6/25

 コロナ禍を機に在宅が増え、家を片付けたり、引っ越したりした人は多い。みなさん少しでも快適に暮らしたいのだ。でも、もし自宅が住むほどに味わい深く、癒やされるような空間になるとしたら? そんな理想を叶えるなら、落ち着いたイギリス風の住まいがいいかもしれない。『日本でもできる!「英国の住まい」に暮らす。』(主婦の友社)は、それを実現するためのお手本やアイデアの宝庫のような1冊だ。

実は日本と親和性が高い? 新築だけでなく中古マンションも癒やしの空間に

日本でもできる!「英国の住まい」に暮らす。P45

 実はイギリス風の住まいは、日本と親和性が高い。「英国人は世界でいちばん家と庭を愛する国民」とも言われ、家の大小にかかわらず、自然とも調和する飽きのこないアットホームな住まいが多いからだ。多くの家には日本の家のように、6畳や4畳半ほどの部屋もあれば、限られた敷地ながら工夫を凝らしてガーデンを設えていたりする。

 英国らしい間取りにする上で際立った特徴となるのは、リビングのマントルピース(暖炉の焚き口を囲む装飾枠)だろう。イギリスでは暖炉で寒さを凌いだ時代が長かったため、家の中でリラックスできるよう美しく作りつけられた。今はセントラルヒーティングのような暖房設備が主流で、デザインのみ残されていることが多いというが、暖まる場所だったからか、暖炉前は家族や友人との時間が豊かになりそうな雰囲気が漂う。

advertisement
日本でもできる!「英国の住まい」に暮らす。P38

 また、収納はアンティークの置き家具が中心。代々引き継いできたものも多い。重厚な存在感を放つ年代ものを、うまく空間に調和させるのが英国流だ。さらに子ども部屋も同様にシックにすると、子どもが成長してからも愛用してくれたり、客間に模様替えができたりするのだとか。

 本書には、一軒家だけでなく、中古マンションを改装した実例も詳しく紹介されている。大きな家でなくとも、採用できるのがよくわかる。アンティーク家具の存在感も圧迫にならず、むしろ美しい工芸品のような家具に囲まれて、見るほどに癒やされるのだそうだ。

日本でもできる!「英国の住まい」に暮らす。P71
日本でもできる!「英国の住まい」に暮らす。P72

どうすれば英国風? 学んで、馴染んで、ずっと慈しむ

 そもそも、どうすれば英国風になるのか。同書には、イギリスの建築様式の変遷が時代ごとにまとめられている。様式ごとのポイントも明快だ。なかでも人気なのは、ジョージアン様式(1714年~1811年のジョージ1世から3世の時代の建築様式)とヴィクトリアン様式(1837年~1901年のヴィクトリア朝の建築様式)。

 2つの様式の外観、玄関ドア、窓、床、壁などが比較されている特集ページもあって、こちらもわかりやすく興味深い。例えば、階段はジョージアンが渦巻き型でヴィクトリアンには彫刻型などがあるというのも、知るほどに楽しくなるというもの。

日本でもできる!「英国の住まい」に暮らす。P30

日本でもできる!「英国の住まい」に暮らす。P28

 産業革命が起こり、中流階級がにわかに増えた時代だ。多くの人が、忙しく働いて帰った家に居心地の良さを求めたのだろう。大量生産に対する反発もあって、職人仕事が評価された側面もあったという。さまざまなデザイン性を持つ2つの様式には、時代や人々がつくりあげた隆盛を感じさせるこだわりの美がそこかしこにある。

 住まいを美しく整えるほど、癒やされるのは古今東西で変わらない。イギリス風の住まいに魅せられた人は、少しずつ家具やアンティークものを揃えたりして、英国人のように長く慈しむそう。そうすることで自身が落ち着くだけでなく、家族も居心地よく過ごせたり、来客が増えたりといった好循環もあるようだ。

 同書には、日本で建築やリノベーションを依頼した実例をはじめ、アンティークものならどこで買えるのかといった点なども詳しく紹介されているので、参考にしてみてはどうだろう。

文=松山ようこ

あわせて読みたい