「離婚まではいかないけど、なんかモヤモヤする」を解決！ 互いを“人生最大の味方”と思えるようになる「夫婦関係修復法」

　離婚を考えるほどではないけれど、パートナーへの不満や苛立ちで胸がいっぱい…。そんな苦しさを長年抱え続けていると、最愛の人だったパートナーは一番憎い敵になってしまう。

　けれど、コミックエッセイ『夫婦で作るメンタル安全基地 〜「離婚するほどじゃないけどなんかモヤモヤするッ」を減らして持続可能な夫婦になる〜』（ふっくらボリサット/講談社）で気持ちを上手く伝える術や、相手の話に耳を傾けるコツを知ると、パートナーを再び尊い人だと思えるようになるかもしれない。

　著者夫婦は、今でこそ仲良しだが、かつては性格や価値観の違いから、夫婦仲に亀裂が生じてしまったことがあったという。

　本作ではその時の心境や仲良し夫婦に至るまでに行ってきた、互いを人生最大の味方（＝安全基地）だと思えるパートナーシップのヒントを紹介している。

「伝え力」「受け力」「場力」を重視して気持ちを伝え合える夫婦に

　著者と夫・サミ太郎さんは、もともと真逆なタイプ。自信がなく、慎重派の著者に対し、夫は社交的で行動派。著者は、まったく違う自分たちが上手くやっていくには相手に合わせて我慢をしたり、嫌なところを見ないようにしたりすることが大切だと考えていた。

　だが、次第に生活の中で価値観のズレを感じることが増え、悶々とするように。夫が「君はどうしたいの？」と聞いてくれても要望を伝えることができず、鬱屈とした日々を送っていた。

　だがある日、悪酔いをした夫に身勝手な態度をとられ、不満を言語化して伝えることに成功。この一件で著者は、気持ちを整理して言葉にすることの大切さを痛感。ひとりでモヤモヤして相手への不満を募らせる夫婦関係からの脱却を目指すようになった。

　すると、サミ太郎さんにも変化が。分かり切っているから言う必要がないと考えていた気持ちを言葉にして伝えてくれるようになったのだ。

　こうして歩み寄り始めた2人は、“ぶっちゃけられる夫婦関係”を築くため、「伝え力」「受け力」「場力」という3つの力を育てていくことにした。

　例えば、相手に自分の気持ちを伝える時は、できる範囲で自己分析。言いたいことが漠然としていても、とりあえず感情を口に出してみるのが大切な「伝え力」なのだとか。

　相手に時間や余裕がなく、その場で話を聞いてもらえない場合は話せる日を予約。当日までは運動やカラオケなど、ご自愛メソッドを楽しみながら過ごすのがポイントだそう。

　なお、当日までに気持ちが晴れたとしても、相手に時間を確保してもらったからには、しんどかった気持ちは吐露しようと著者はアドバイスしている。

　一方、自分が聞き手になる場合は、まず聞いてあげたいという姿勢を見せる「受け力」を意識。「何が言いたいの？」や「要点は？」などの言葉を言わないようにし、すぐに解決できない問題は一緒に悩むとよいのだとか。

　ちなみに、話す時間帯や場所にこだわるのが「場力」。夜中にしんどい話をすると止まらなくなり、翌日に支障をきたす可能性があるため、著者は夜よりも日中に話そうと提案している。

“わたし達の場合　相性は自然と合うっていう性質のものじゃなかった　ぶつかりつつ　たくさん話して　お互いの要望をすり合わせて…相性を二人でコツコツと作り上げてきたんだ”

　自分たちも相性のいい夫婦になれる可能性が、まだある。著者のメソッドやこの言葉に触れると、そんな希望が湧いてくるはずだ。

気負わない「夫婦ミーティング」を定期開催しよう

　とはいえ、大事な話をする時だけ相手と向き合うのは難易度が高い…と思う人もいるだろう。そんな方に勧めたいのが、定期的な「夫婦ミーティング」の開催だ。

　夫婦ミーティングはリラックスできる環境で行い、雑談や近況、気になること、相手に言いたいことなどを伝え合うのがポイント。脱線しつつ、ざっくばらんに話す場を作ることが話しやすい夫婦関係を構築する第一歩になるのだ。

　著者は、夫婦ミーティング時に用意しておいたほうがよいものも具体的に紹介。互いに時間や余裕がない時でもサっと夫婦関係にテコ入れできる、時短の臨時夫婦ミーティングの行い方も解説しているので、育児や家事、仕事で忙殺されている人も参考にできる。

　また、巻末には書き込み式の夫婦ミーティングシートが収録されているので、パートナーと初めて向き合いたい人も役立てられそうだ。

　縁あって巡り合った相手を敵視したり、憎んだりしない夫婦関係を、互いの小さな努力で築いていけたら、と願わずにいられない。

文＝古川諭香