ポピュリズムに背を向けた政治家吉田茂を今こそ学ぶ!

公開日:2012/12/7

吉田茂の見た夢 独立心なくして国家なし

ハード : PC/iPhone/Android 発売元 : 扶桑社
ジャンル:ビジネス・社会・経済 購入元:BookLive!
著者名:北康利 価格:1,337円

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9月のNHK土曜ドラマに吉田茂がとりあげられ渡辺謙さんが主演されました。見られた方も多いと思います。そこで描かれていたように、吉田茂は、ライバルの鳩山一郎に比べて、人気のない政治家でした。もっとも象徴的なできごとは、昭和27年のいわゆる「抜き打ち解散」のときの演説会。そもそも演説が嫌いな上に鳩山派からの激しい攻撃を受けていらいらしていた時に、ある新聞社のカメラマンが目もくらむほどの至近距離で何度もフラッシュをたかれました。かっときた吉田茂はカメラマンに水をかけ、「人間の尊厳を知らないのか!」と一喝したそうです。

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このように、マスコミに遠慮せず、演説嫌いの吉田茂にとって、世論の動向にしたがって政治を進めていくなどということを、微塵も考えてない政治家でした。彼は自由主義者ではありましたが、民主主義者ではなく、ポピュリズムに背を向けて、「独立国の完成」を目指しました。かたや今の政治はポピュリズムであり、特に選挙に関していうと財政を考えるととてもできないことばかり語り、国民にとって厳しいことですが、国の為には必要なことを発言する政治家はとても少なく感じます。

今の政治家に多くの示唆を与え続けている作者の政治観を紹介しますと、「政治の世界を眺めていると、いつも「蠱毒(こどく)」のことを思い出す。甕(かめ)の中に毒を持つ生き物を大量に入れて共食いをさせ、最後に生き残ったものが最強の怨念と毒を持った存在になるとする、おどろおどろしい古代中国の呪法だ。」と書かれています。そして、この蠱毒の中で生き残ることが、政治だと指摘しています。このようなリアリズムと、ポピュリズムに背を向けた理念を通すことのできる政治家に期待したいところです。


吉田茂はもともと外交官でした

独立した国家、それを目指した晴れの舞台がサンフランシスコ講和条約でした

知恵を集めて、戦略を練って実行する。戦略論の基本ですね

吉田茂には多くのブレーンがいました