コネ、経験不要！ 初期費用がおさえられて、スキマ時間を有効活用できる「オンライン事務」のはじめかた

　近年、1つの会社に専業で勤めるという従来の働き方から、フリーランスや副業を取り入れつつ自由なスタイルで働く層が増えている。こうした働き方の変化の背景には、オンラインシステムの充実がある。かくいう筆者も、フリーランスのWEBライターとして働いている1人だ。元々は東京で働いていたが、家族の体調不良をきっかけに地元（関西）へ戻ることになった。それでも同じ仕事ができているのは、私の仕事がWEBで完結できるものだったから。

『「ゆる副業」のはじめかた オンライン事務　コネ・経験不要、スキマ時間でしっかり稼ぐ！』（土谷みみこ/翔泳社）は、WEB上のシステムをうまく活用して、オンライン事務をはじめよう！ という指南書。「オンライン事務」とは、インターネットを使って遠隔で、出社せず自宅や自由な場所で事務の仕事をおこうなうこと。副業にはさまざまなものがあるが、著者である土谷さんはなぜ「オンライン事務」を推奨しているのか。それは、コネや経験が不要で、スキマ時間を有効活用でき、なおかつ元手がかからない、というところにある。

　オンライン事務に必要なものは、パソコンとネット環境、あとは連絡や作業に使用するソフトの類。作業スペースもパソコンができる場所さえあればよく、仕入れなどコストのかかる前準備もいらない。はじめようと思えば今すぐにでもはじめられるのだ。さらに、仕事が「スキル」として蓄積され、別の取引先へと移ってもそれを活かすことができる、というメリットもあるとのこと。

　そうはいっても、実際ゼロからどうはじめればいいのか。ここに関しても本書内で丁寧に解説されている。仕事を得る方法は、主に「クラウドソーシング」「オンライン秘書（事務）会社」「1人社長／個人事業主」の3つ。最初から「1人社長／個人事業主」を狙うのはややハードルが高いため、まずはクラウドソーシングに登録し、単発契約の小さな仕事、お試し勤務から積み上げていく手法が推奨されている。こうした仕事には基本的に選考がなく、受注のハードルも低いため、経験の積み上げにはもってこいなのだそう。

　しかし当然、こうした誰でも受注できる仕事にはデメリットもある。報酬が安く、頑張ってもなかなか労力に見合った報酬が得られない、という点だ。そのため、効率よく稼ぐためには自分のステージを上げていかなくてはならない。この単発契約の仕事は、あくまで経験を積み上げ実績を作るためのもの。そう割り切って、お金をもらいながら勉強していると思えば決して無駄ではないはずだ。

　また、「オンライン事務」と一言でいっても、その業務内容は「営業事務」「経理事務」「総務事務」「人事事務」「タスク管理」など多岐にわたる。同じ事務仕事でも求められる人間性やスキルが違うため、自分にどんな仕事が向いているのか、どんな仕事がしたいのかを見極めるのも大切だ。そのためにも、お試し勤務はぜひともやっておきたいところだ。

　オンライン事務では基本的にクライアントと会わずに仕事をするため、“コミュニケーション”が円滑に仕事を進める大事なポイントになってくる。不安に思う人もいるかもしれないが、そんな人に向けて、本書では「テキストコミュニケーション」や「クライアントとのコミュニケーション方法」を丁寧に解説している。「文字だけで相手に分かりやすく伝えるコツ」や「クライアントとの打ち合わせですること」「書類作成・共有のベストなタイミングとは」など、おさえておきたいノウハウ満載だ。

　本書を読み進めながら書かれている通りに行動していけば、今日からでもオンライン事務デビューが可能。もちろん、真面目に続けて信頼と実績が得られれば、これを本業にすることだってできる。場所や時間に縛られない収入源を持っておくと、万が一何かがあったときに自分を助けてくれる。気負って立ち止まるより、「合わなかったらやめればいいや」くらいの感覚で、まずは気軽にチャレンジしてみては？

文＝月乃雫