気をつかったつもりで、つい「すみません」と言ってしまう人へ。「ありがとう」と言い換えるだけで仕事や人間関係が円滑に!

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公開日:2023/4/15

気づかいの壁
気づかいの壁――「気がつくだけの人」を「気が利く人」に変える、たった1つの考え方』(川原礼子/ダイヤモンド社)

 他人への「気づかい」は難しい。特に、繊細で内向的な人の中には、相手が今困っていると気が付いているにもかかわらず、たった一言「何かお困りですか?」と聞けずに、のちのち後悔した経験を持つ人もいるだろう。

 困った相手に「気がつくかどうかは『素質』」だが、「気が利くかどうかは『技術』」である。そう主張するのは、コミュニケーションの仕方を扱った書籍『気づかいの壁――「気がつくだけの人」を「気が利く人」に変える、たった1つの考え方』(川原礼子/ダイヤモンド社)だ。たった一言の勇気を与えてくれる本書より、対面で実践できる気づかいのコツを紹介したい。

気をつかいすぎる人の口癖「すみません」は言い換える

 相手に恐縮するがあまり、何かと「すみません」と発してしまう人たちもいるだろう。かくいう筆者もそうで、以前、お会いした方から指摘されたときにハッとして、自分の口癖を直そうと考えたこともあった。

 本書では、この「すみません」に関するアドバイスがある。まず、会議で仕切り役を任されたときの例文を見てほしい。

「今から月例会議をはじめます。みなさん、お忙しい中、朝から集まっていただき、【すみません】」

「○○さん、お休み中から復帰されましたね。たいへんな中、参加していただいて【すみません】」

 これらの言い回しから、どのような印象を受けるか。本書は、言葉を発した本人が「悪いことをしていたり、相手が迷惑に思っていることが前提になっていたりするように」聞こえると指摘する。

 対処法は単純で「すみません」を「ありがとう」に置き換えればいい。例えば誰かと会ったとき、「お忙しいのに、すみません」と言わず、「お忙しい中、ありがとうございます」と言えば、印象が異なるのもよく分かる。口癖を直すのはたやすくないが、つい「すみません」と出てしまったなら、すぐさま「ありがとう」を付け加えるのもよい。ほんの一言で、相手から「好印象」の評価を得られるようになる。

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「大丈夫?」の一言は相手へプレッシャーを与えかねない

 職場ではお互いの声かけも必要だ。自分が先輩ならば後輩のフォローをするのも大事な仕事となるが、例えば、仕事の進み具合を確認する場合に心配し過ぎて、以下のように声をかけてしまうこともある。

「大丈夫?」

「あの仕事、大丈夫だよね?」

 このような声かけは一見、不自然ではない。しかし、本書は「意味のない声かけ」だと著者は指摘する。理由は、人はそもそも「『大丈夫』を演じたい」と思っているためだ。先述のように聞かれた相手が「大丈夫じゃありません」と言いづらいのは想像にたやすく、人によっては「大丈夫に決まってるよね!」と言われているようで、プレッシャーを感じてしまう可能性もある。

 これを回避するには「はい」「いいえ」で答えられる質問ではなく、相手が自由に返せる質問で声かけするのがいい。「どこまで進んだ?」「今、どんなことやってる?」と問いかければ、後輩から「いや、じつは困っていることがあって……」と相談が返ってくる場合もある。

 相手を追い詰めるのではなく、「あと一歩」踏み込めるように意識するのが、後輩との円滑なコミュニケーションのコツだ。

 さて、本稿では対面のシチュエーションで実践できる「気づかい」の仕方を紹介したが、本書では、メールやチャットなど、オンラインコミュニケーションに関する話題も扱っている。気づかえる人は、相手を「思いやれる人」とも言える。日頃の振る舞いを見つめ直して、真に「気が利く人」になろう。

文=カネコシュウヘイ

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