Excelは信用できないから手計算!?「無能な鷹ほど爪を見せびらかす」を体現し、6巻になってもまだ成長しない
マンガ 更新日：2023/6/29
「能ある鷹は爪を隠す」ということわざがあります。優れた能力のある人はそれを無駄にひけらかしたりしないということのたとえです。実際、デキる人ほど謙虚ですよね。
ではこのことわざを逆転させるとどうなるでしょうか。「無能な鷹ほど爪を見せびらかす」となります。
『無能の鷹』（はんざき朝未/講談社）の主人公、鷹野ツメ子はまさにそんな人。
この物語は、有能に見えて無能な鷹野と、有能だけど無能に見える鶸野（ひわの）が手を組み、さまざまなトラブルを神回避していく痛快お仕事ストーリーです。
とあるIT企業の新卒試験。さっそうと現れた鷹野に、皆目を奪われます。
スマートな身のこなし、公共アナウンサーのようなきれいな発声、板についた落ち着き……彼女を見た人は皆こう思いました。「こいつ、デキる」と。
採用担当も「優秀なヤツは一目見りゃわかる」と太鼓判。あっさり採用を勝ち取ります……が。入社から１年半後、鷹野は社内ニートになっていました。
入社当初は上司がつきっきりで指導していたものの、
「鷹野がシンプルにアホすぎる」
「記憶力もないし…出来の悪い小学生に教えてるみたいだ」
有能そうなのは見た目だけで、じつは鷹野は誰よりもアホ……無能だったのです。
同期が上司と一緒に外回りに行くのを横目に、鷹野は社内で資料のホチキス留め。あまりに何もできない鷹野を見た上司たちが「いざとなったらクビかぁ」とボヤく始末。しかし鷹野は動じません。
「私が この会社を必要としてるから 会社に必要とされてるかは考えないようにしてる」
「働きアリの法則をご存知でしょうか？ えーと詳しくは忘れましたが とにかく私のような存在は必要なのです」
まさに鬼のメンタル。実際こんな人が同僚にいたら嫌ですけど、漫画だから笑えます。
一方、鷹野の同期である鶸野は、とても有能。しかし自信がないため周りからは“無能”っぽく見られがち。営業に出ても顧客を前に萎縮して、思うような結果が残せないでいました。鶸野は思います。
「コンサルなんて頭使うだけでもダメで 何より有能そうに見えないと」
そんなとき、目に入ったのが鷹野でした。デキる風に見せかけることは誰よりも上手い鷹野を営業に連れていくことで、顧客からの信頼を得る作戦を思いつくのです。
結果は大成功。雑用ですら満足にできない鷹野ですが、その堂々たる振る舞いによって、数々の局面を突破。デキる風に見せかけるのも才能だとしたら鷹野もある意味では有能……なの、か？
仕事で失敗した人は鷹野を見て元気を出そう
とにかく鷹野を見ていると、誰もが輝けるステージがあるのだと勇気が湧いてきます。
もしかすると、今まさに、仕事でミスをして落ち込んでいる方もいるかもしれませんよね。でも大丈夫です。鷹野の無能っぷりを見ればきっと元気が出るはず。驚愕すべき鷹野の無能エピソードをご紹介しましょう。
●とにかく漢字が読めない
「燃費」を「もえぴ」と読むなど、とにかく漢字が読めません。鶸田と行った営業先で、自社の資料が読めないという事態に陥りますがフリートークでなんとか回避。そもそも自分ができないことを自覚しているので、ピンチに動じないのも鷹野の強みです。あと言葉もよく知らないので、「外車」を「外出用の車」だと思っています。
●英語は「そこそこできる」と豪語しながら、喋れるのは2語
電車の中で英語を話す子供を見て、「私は…そこそこできるかな」と自信ありげに言う鷹野。ところが出てきたのは「This is a pen.」と「Apple」の2語でした。ギャグでもなんでもなく、本気でそこそこできると思っているところに鷹野の凄さを感じます。かたやTOEIC800点取っても自信が持てない鶸田。自信って本当に「自分を信じる」ことで生まれるんですね。
●エクセルよりも自分の暗算を信じる
上司からデータ入力を頼まれた鷹野。しかしエクセルを「はっきり言って信用できません」と言い、暗算で確かめようとします。優しい上司が電卓を渡すも、結局計算を間違える鷹野。IT企業なのにエクセルを使えないのもどうかと思いますが、鷹野はさらにその先、エクセルを信じないところまで来ているので、並の社会人とは一味もふた味も違いますね。
●有休取ったのを忘れて、出社する
先輩について営業に行った鷹野。トラブルがあったせいで思いがけず時間がかかり、帰社する頃には夜。「残業代ついちゃうからさっさと帰れよ」という先輩に対し、鷹野は「大丈夫ですよ！ 今日は有給なので！」と答えます。社会人にとって有休をいつ取るかは非常に大事なことですが、会社にいても仕事をしない鷹野にとっては、別にたいした問題ではないのです。
『無能の鷹』は既刊6巻ですが、もちろん最新刊でも鷹野は無能のままです。主人公がまったく成長しない漫画というのも珍しいですよね。
仕事でくさくさしている人、鷹野の無能っぷりを見て元気を出してくださいね。
文＝中村未来
