人骨と2週間過ごし、生贄をさばき、謎の熱病にかかる…発掘調査は命がけ!?「考古学=お堅い」のイメージを壊すノンフィクションエッセイ登場

文芸・カルチャー

公開日:2023/7/15

考古学者が発掘調査をしていたら、怖い目にあった話
考古学者が発掘調査をしていたら、怖い目にあった話』(著:大城道則、芝田幸一郎、角道亮介/ポプラ社)

 これからの夏にちょうどいい、ちょっと怖くて面白いノンフィクションエッセイ『考古学者が発掘調査をしていたら、怖い目にあった話』が、2023年7月5日(水)に発売された。

「考古学」というと少しお堅い感じがするが、同書に綴られているのは3人の考古学者たち(大城道則、芝田幸一郎、角道亮介)によるロマン溢れる冒険譚。彼らが海外での発掘調査中で体験した、日々の恐怖や驚愕、奇々怪々な出来事がコミカルな筆致で綴られており、言うならばリアル“インディ・ジョーンズ”たちの摩訶不思議な体験談だ。

 彼らの調査中に起きたハプニングは、日常ではまず起きることのない出来事ばかり。地下墓の人骨と2週間過ごしたり、生贄のヒツジをさばいたり…。ある時はサハラ砂漠で遭難しかけ、またある時は墓の中に閉じこめられて凍死寸前になったこともあるそうだ。生死にかかわる出来事も少なくなく、いかに発掘調査が命がけで行われているかが見て取れるだろう。

advertisement

 エッセイの内容は、考古学者が発掘調査をした地域によって、大きく3つに分かれている。大城道則氏による「エジプト・シリアの発掘調査」、角道亮介郎氏による「中国の発掘調査」、そして芝田幸一郎氏の「ペルーの発掘調査」だ。

 たとえば大城氏のエピソードには、現地で味わったグロテスクな食事が紹介されている。それは博物館の館長から宴会に招待され、「マンサフ」とよばれるヨルダン料理を振る舞ってもらった時のことだ。マンサフは結婚式などに振る舞われる“ハレの日”のメニューで、大皿にインドのナンとよく似た無発酵パンを最初に敷き、その上に炊き込みご飯を山盛りに乗せ、さらにその上にヨーグルトを使用して煮込まれたヒツジ肉を乗せていく。

 ここまでは何も問題ない、むしろ豪華で美味しそうな料理に聞こえるものの、問題はその後にあった。マンサフはおもてなし料理なので取り分けられて招待客に配られるそうだが、ヒツジの内臓的な部位や、絶妙な焼き具合の頭部がそのまま食卓に並ぶ。もちろん頭部は目玉もそのまんまだ。

 そのままの形で出てくるのでかなりグロテスクらしく、大城氏は同書の中で「ホルモンが苦手な人には悪夢のような地獄の光景が目の前に出現する」「どれがどの部位かが一目で分かってしまう形状をしたものが多い。歯がむき出しになったヒツジの顔と目が合ってしまったりするのだ」と語っていた。

 そんな非日常的で少しゾッとするエピソードがたっぷり収められた同書。SNS上には「原因不明の熱病にかかったり、人骨と2週間過ごしたり…。考古学って結構命がけなんだな」「ページをめくるごとに未体験ゾーン満載。ロマンと現実が入り乱れてた」「インディ・ジョーンズに憧れていた人も、そうでない人も楽しめる一冊」といった声が寄せられている。

 読めばきっと、考古学に対する印象が変わるはず。気になる方は、奥深い考古学の世界に足を踏み入れてみてはいかがだろうか。

あわせて読みたい