累計1100万部突破!レンタル彼女を祖母に紹介することで始まる純粋ラブコメ『彼女、お借りします』

マンガ

公開日:2023/7/27

彼女、お借りします
彼女、お借りします』(宮島礼吏/講談社)

「彼女? い、いるけど……?」

 なんて友達に見栄を張ったことはありませんか? もちろん、筆者はあります。どうして学生の頃って、「彼女がいる」と嘘をついてしまうんでしょうか。絶対その後に詳細を聞かれて苦しくなるのに…。

 大人になったいまでは最初から嘘をつかないように立ち回るものですが、『彼女、お借りします』(宮島礼吏/講談社)の主人公・和也は現役の大学生。恋人がいない寂しさを紛らわすために「レンタル彼女(疑似恋愛サービス)」を利用し、あろうことか家族の前で本物の彼女だと紹介してしまいました。

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最初は彼女がいたんです

 和也には恋人がいました。それはそれは可愛らしい彼女が。

 しかし家族に会ってほしいとお願いしたところ断られ、その後すぐにフラれてしまいました。交際期間はわずか1ヶ月。短いとはいえ夢のような時間を過ごし、それを失ってしまったんです。そして和也は寂しさのあまり、疑似的な恋人関係が楽しめるサービス「レンタル彼女」を利用し始めたのでした。

 和也との待ち合わせにやってきたのは「千鶴」という女の子。服装も容姿も言葉遣いも、あらゆる要素が男心をくすぐる「プロの彼女」です。こんな美少女が待ち合わせに来るなら1回くらい使ってみたいかもな…と、マンガを読みながら思ってしまうほどに。

 あまりに完璧すぎる女の子・千鶴とのデートは順調に進んでいきますが、次第に和也の胸のうちには虚しさがこみ上げてきました。これはお金で買った関係。どうせ誰にでも同じことをしている。全部が演技なんだ。千鶴がプロの仕事を完璧に披露するたび、和也の頭にはネガティブな考えが渦巻きます。

 しかし、それは当然のこと。だって、そういうサービスなんです。あらかじめ決めたデートプラン、好みを狙って選ばれた服装、恋人同士を演じるという約束。それらは言葉を選ばずに言ってしまえば、全て「嘘」とも言える関係なのですから。

この嘘は誰を幸せにするのか

 それでも千鶴とデートを重ねる和也でしたが、突然高齢の祖母が倒れた旨の連絡を受け病院に駆けつけます。病室に入るなり元気な祖母をみてホッとする和也。しかし安心したのも束の間、祖母の容態が無事だとわかった家族一同の目は、和也が連れてきた美女に向きました。そう、千鶴も連れてきてしまったんです。「で、そちらのお嬢さんは?」和也の祖母が尋ねます。

「かのじょ…っ 彼女だ…っ!!」

 と、和也。言っちゃった!

 引くに引けず放った言葉は一家に衝撃を与え、同時に、和也にとって嘘の恋人関係の始まりを意味していました。時間が経つにつれ本当のことを打ち明けるのが辛くなるのはわかっていたはずなのに、自分で始めた物語はもう止まらない。

 この先の物語でもことあるごとに、和也は千鶴が彼女であるかのように振る舞い続けるわけですが…不思議と作品を読み続けるにつれ、和也が段々と憎めなくなってきます。だって和也のつく嘘って、どれも誰かを傷つけないようにするための嘘なんですもの。

 和也は基本的に純粋で、格好つけたがりな人間です。家族にも友達にも見栄を張るし、別れた彼女には強がって紳士のように振る舞おうとする。でもちっぽけな嘘で見栄を張る和也だからこそ、読者もつい感情移入してしまうのではないでしょうか。筆者もすっかり和也の人間性に引き込まれ、自分の中でいつのまにか憎めない存在になっていました。

 家族を安心させるため、とっさについた嘘は果たしていつまで貫き通せるのか。これは嘘から始まった物語ですが、もしかするとそのうち本物の彼女ができたりするのでしょうか…!? そんなことを考えながら、いまを精一杯に生きる等身大の男子大学生を応援したくなる。そんな作品です!

バカだなぁと思いながら

 格好つけたがりの大学生・和也のまっすぐすぎる物語はときに自分の黒歴史を思い出してしまうくらい純粋で、読み進めるためには少々覚悟が必要。しかし、だからこそ気づいたときには不器用な彼を応援したくなってしまうんです。バカだなぁと思わず笑みをこぼしてしまうような和也の物語、いまから一緒に追いかけてみませんか?

 もちろん可愛い女の子たちもたくさん登場します。千鶴を始め、小悪魔系な美少女で元カノの麻美、元気系年下美少女の瑠夏、恥ずかしがり屋だけど人一倍頑張り屋さんな美少女の墨など…あぁ、ヒロインたちのことを喋ると止まらなくなる!

 魅力的なヒロインたちのお話はまたどこかで!

執筆:ネゴト / 星月まふゆ

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