“クズなケモノ”の幼なじみは、実はピュアで一途だった―― 幼なじみ×初恋×ケンカップル×強引系彼氏…胸キュン要素特盛のラブコメ!

マンガ

公開日:2023/8/10

クズなケモノは愛しすぎ
クズなケモノは愛しすぎ(noicomi COMICS)』(小森りんご:作画、吉田マリィ:原作/スターツ出版)

「女の子なら誰だって 心もカラダも好きな男と結ばれたいって思うのよ」

 冒頭の主人公・葵のモノローグに、初っ端からドキッっとさせられる。そして続くモノローグの

「でもね、それは蒼真(あんた)とじゃないんだよ…!」

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 という言葉に、さらにドキドキっとしてしまう。この掴みのきいたプロローグが、なんとも巧みだ。

 電子コミック誌『noicomi』で好評連載中、めちゃコミック少女マンガ部門ウィークリーランキング(2022.12.9付)で1位を獲得し、DL数は270万部を突破。話題沸騰の少女マンガ『クズなケモノは愛しすぎ(noicomi COMICS)』(小森りんご:作画、吉田マリィ:原作/スターツ出版)の1、2巻が同時発売される。

 女子高生の来栖 葵は、マンションの隣の部屋に住んでいる幼なじみ、暁 蒼真の世話係をさせられる日々。両親が海外にいる蒼真のために(というよりも、葵の母から彼を面倒みるよう命令されて)毎日夕食を作ってあげているわけなのだが、この蒼真、高校生とは思えない色気の持ち主なのだ。校内ではあらゆる女子から熱視線を浴び、ガールフレンドの入れ替わりも激しい。タイトル通り、清々しいほど“クズなケモノ”である。

クズなケモノは愛しすぎ

 そんなある日、いつものように夕飯を作った葵が帰ろうとすると、おもむろに蒼真から引き寄せられ、ささやかれる。

「今日はお前と一緒に寝たい気分」

 小森りんご氏が描く蒼真の、切れ長の目からあふれてくる秋波のパワーが……

クズなケモノは愛しすぎ

「イケメンだから許す理論」ここに極まれり、というぐらいに色気がみなぎっている。やむなく一つのベッドで抱き枕状態にされて眠る葵なのだが、当然寝られるわけがない。一方、熟睡している蒼真は「好きな相手を襲う夢」を見て、葵のうなじに噛みついてしまう――。

クズなケモノは愛しすぎ

 子どもの頃からいつも一緒で、家族同然の仲である葵と蒼真。だけど、彼の胸の内には葵を女性として求める気持ちが抑えきれなくなっていた。その衝動を散らすため他の女の子たちと遊びまくっているのだが、恋愛未経験に加えてその方面の機微に疎い葵は、蒼真の本心にまるで気がつかない。

 行動だけ見たらクズなケモノだけど実はピュアな蒼真と、彼を意図せず振りまわしている葵。ふたりが繰り広げる“ケンカップル”一歩手前のわちゃわちゃ感が、実に楽しい。それでいてハグやキスシーンにはしっとりとした艶があり、ドキドキする展開が多いのも魅力だ。

 蒼真に偽装恋人役をお願いするうち、彼を本気で好きになってしまう転校生の環。さらにそこへ、もう一人の幼なじみ・春斗も現れて物語は四角関係の様相を呈してくる。蒼真とは対照的に葵への好意を隠そうとせず、ぐいぐい迫ってくる春斗。そんな春斗に煽られて、いよいよ本気を出してくる蒼真。タイプの異なるイケメンたちに迫られる夢のようなシチュエーションに、トキメキが止まらない。

 2巻の終盤で、ようやく葵は、今まで幼なじみとしてしか意識していなかった蒼真を男性として見つめはじめるのだが……。

「幼なじみ」「初恋」「ケンカップル」「強引系彼氏」と、胸キュン要素が特盛かつ、スイーツよりも糖度高めのラブストーリーを味わってほしい。

文=皆川ちか

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