ある日突然、最強のあやかし「鬼」に見初められて「花嫁」に!? 家族に虐げられてきた女子高校生のシンデレラストーリー!

マンガ

公開日:2023/7/28

鬼の花嫁
鬼の花嫁』(富樫じゅん:漫画、クレハ:原作/スターツ出版)

 同じ親から生まれた兄弟・姉妹であっても、容姿や性格、能力が同じとは限らない。むしろどこかしら違うことの方が多いだろう。人はそれぞれ違うものであり、そこに優劣をつけるのはいかがなものかと思うが、しかし近しい間柄だからこそ比較されて辛い目に遭ってしまうことも――。

鬼の花嫁』(富樫じゅん:漫画、クレハ:原作/スターツ出版)は、幼い頃から妹と比較されて不遇の人生を歩んできた主人公が愛され、成り上がっていく逆転劇。原作は、スターツ出版が運営している小説投稿サイト「ノベマ!」で連載されている小説。2023年7月28日には、コミカライズ版最新刊となる3巻が発売された。

 本作品の舞台は、あやかしと人間が共存している架空の日本。美しい容姿と優れた能力を持つあやかしは、地位も権力も人間の上をいく特別な存在だ。しかし時折、あやかしたちは人間の女性の中から「花嫁」と呼ばれる運命の相手を見出す。あやかしにとって、花嫁は出会った瞬間に分かる特別なもので、あやかしの霊力を高める唯一無二の存在なのだという。それゆえに、あやかしは花嫁を生涯にわたって絶対的に愛す性質を持つ。

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 主人公の柚子は、家族から不遇の扱いを受け、愛されずに育った女子高校生。社交的で愛想もよく甘え上手な妹・花梨は、両親の愛情も期待も我がものにし、ついに妖狐・狐月瑶太(こげつ ようた)の「花嫁」となる。それにより、家の中における柚子の居場所は一層なくなってしまった。

鬼の花嫁

 そんな生活を続けていたある日、柚子はひょんなことから妹とケンカをしてしまい、瑶太の怒りを買って腕を燃やされ大やけどを負ってしまう。

鬼の花嫁

 実の両親も妹も、自分の心配なんてしてくれない。その悲しみから家を飛び出し、夜の街を彷徨っていた柚子。だが、そこに美しく綺麗な黒髪の男性・鬼龍院玲夜(きりゅういん れいや)が現れ、「会いたかった、俺の花嫁」と柚子を抱きしめる。

鬼の花嫁

 そして柚子に手を差し伸べ、傷を治して自らの屋敷へ案内してくれた。彼は、あやかしの中でも最も強く美しいとされる「鬼のあやかし」だったのだ。そこから柚子は、玲夜の計らいで親族の中で唯一柚子に優しい祖父母の養子となり、実家を出て鬼龍院家で暮らすことになる。

 甘え上手で我が強い妹の花梨と違い、柚子はどちらかというと控えめで不器用な性格。でも本当は、自分も家に居場所がほしいし愛されたい、とずっと苦しい思いをしていた。そんな柚子の言葉にできない気持ちを無下にせず汲み取り、根気強く寄り添ってくれる玲夜の存在は、どれだけ救いになったことだろう。虐げられてきた柚子の、自信のなさからくる不安と期待に揺れる切ない気持ちを思うと、胸がぎゅっと締めつけられる。

 しかし、すべてが順風満帆とはいかない。玲夜に見初められ幸せを手に入れつつある柚子のことを、快く思わない人もいたのだ。2巻では、柚子と玲夜の関係を揺るがしかねない不安やトラブルが次々と襲い掛かる。縁を切ったはずの両親や花梨も、玲夜の留守を狙って再び柚子の前に現れて――。

鬼の花嫁

 人知を超えた力を持つあやかしと、人間、そして花嫁。それぞれの事情や思惑、思いが複雑に絡み合っていくこの『鬼の花嫁』。最新刊となる3巻では、柚子の勘違いによって玲夜との関係も大きく動いていく……! 柚子と玲夜は、数々の障害を乗り越えて無事幸せになれるのか、物語はこれから、どこへ向かっていくのか――。居場所がなかった柚子が愛され愛することを知っていく過程を、ぜひとも本編で見届けてほしい。

文=月乃雫

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