名だたる大企業の儲かるカラクリとは? 吉野家やマクドナルドの利益を生み出すポイントを解説!

ビジネス

公開日:2023/8/4

うまくいっている会社の非常識な儲け方
うまくいっている会社の非常識な儲け方』(おじま優來/すばる舎)

 看板商品を掲げる大企業も、それ自体で儲けているわけでないとは驚く。

 中小企業マーケティングコンサルタント、コピーライターの著者・おじま優來氏による書籍『うまくいっている会社の非常識な儲け方』(すばる舎)はマーケティングに関心がある人や、会社の売上をどうやってアップさせられるのだろうか?と悩む人に向けた1冊だ。

 名だたる企業は、どのように儲けているか。数々の事例は、たいへん興味深い。なお、実際の企業による事例を取り上げるが内容はすべて本書にもとづくものである。

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吉野家は「牛丼」だけでは儲けられない?

 マーケティングの世界では、客寄せ商品である「フロントエンド」、利益を生む商品である「バックエンド」という言葉がある。

 戦略として「バックエンドを売るために意図的にフロントエンドをつくってお客を集める手法」があるが、本書によると牛丼で有名な吉野家がこれを実践しているという。

 吉野家は「早い、安い、うまい」で知られる牛丼チェーンで、もちろん、お店の「売れ筋商品」は牛丼だ。そのため、企業としての生命線は牛丼にあり、これを可能な限り安い価格で提供するのが必要となる。

 では、何が利益をもたらすのか。実は、「卵」「おしんこ」「サラダ」「みそ汁」といったバリエーション豊かなサイドメニューで利益を得ているという。

 参考までに、総務省統計局が発表した2023年6月時点の「小売物価統計調査」によれば、全国のスーパーで販売される10個入りの鶏卵1パックの平均価格は306円。1つあたり30.6円で同時期に吉野家では生玉子を88円(税抜)で提供していたので、あくまでも原価ベースではあるが、利益は出ている計算となる。

 この儲け方に注目する著者は、牛丼の並盛だけ注文するのは気が引けて「並、卵、みそ汁、つゆだくで!」と注文してしまうそうだ

マクドナルドにあった「不動産屋」のように稼ぐ仕組み

 ビジネスでは「集客力がある事業のお客様」に、ほかのモノやサービスを売る多角化戦略という手法もある。「実は○○屋でもある」として事業を展開できれば、可能性も広がるのは想像にたやすい。

 実際、この戦略で利益を上げている企業がある。バリエーション豊富なハンバーガーがウリの、ファストフードの老舗・マクドナルドだ。

 本書によるとマクドナルドは「食品だけで利益」を上げているわけではない。加盟店が本部に売上の一部をロイヤリティとして支払うフランチャイズのビジネスも利益の柱となっており、マクドナルドでは「本部が土地や建物まですべて用意して、オーナーだけ募集するという形式」で展開している。

 そして、加盟店は本部が用意した土地や建物の家賃も支払っている。そのため、加盟店自体の売上げがふるわなくても、本部は賃料により赤字にならない。すなわち、不動産屋のように稼ぐ仕組みも作っているのだ。

 本書ではこれらのほか、数多くの事例を紹介している。副業も注目される昨今、個人で「何かビジネスをはじめたい」と考える人の参考にもなるのではないだろうか。

文=カネコシュウヘイ

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