濡れ衣で国外追放された聖女がS級クラスで最強すぎる。無敵すぎて、ゆる~く勝ち上がる異世界転生ファンタジー

マンガ

公開日:2023/9/25

追放聖女の勝ち上がりライフ
追放聖女の勝ち上がりライフ』(原作:まゆらん(ツギクル)/キャラクター原案:とぐろなす/作画:イヌ乃さゑ汰/少年画報社)

 最弱な主人公が様々な冒険でスキルを上げてS級ランクの勇者に上り詰めていく、転生コミック漫画は多いもの。だが、『追放聖女の勝ち上がりライフ』(原作:まゆらん(ツギクル)/キャラクター原案:とぐろなす/作画:イヌ乃さゑ汰/少年画報社)は、一風変わった設定。最初から主人公がS級クラスの強者であるから、ユニークなのだ。

 本作では、濡れ衣を着せられ、国外追放されたひとりの聖女が、その気もないのにゆるゆると勝ち上がっていく異世界転生ファンタジー。心理描写がしっかりとなされているため、彼女の心の成長も楽しめる一作となっている。

advertisement

■国外追放された聖女がS級クラスの強者だった…!

 シーナは10歳の時、両親を亡くして教会に引き取られた。すると、希少な聖魔法の使い手であり、魔力量が規格外であることが判明。ダイド王国の聖女に認定され、第3王子レクター・ダイドの婚約者となった。

 だが、婚約者とは名ばかり。シーナは十分な食事を与えられないまま、討伐隊の一員として魔物の棲家とされる「グラス森」に赴く日々を送る。役目は、治癒魔法で負傷者の傷を癒すこと。シーナは5年間、休みなく聖女としての職務を全うし続けたのだ。

 だが、ある日、レクター・ダイド王子から侯爵令嬢を殺そうとしたとの濡れ衣を着せられ、婚約破棄と国外追放を言い渡されてしまう。シーナは深いショックを受け、困惑。すると、突然、前世の記憶が蘇ってきた。

 シーナの前世は、青木椎奈という日本人。実は転生し、異世界へやってきていたのだ。

追放聖女の勝ち上がりライフ

追放聖女の勝ち上がりライフ

 その事実に気づいたシーナは自分がいかに劣悪な環境の中にいたのかを自覚し、未練なく王国を去る。その時、一緒についてきてくれたのが、侍女のキリ。2人は新しい人生を掴むため、グラス森を抜け、隣国を目指すことにした。

 森を抜ける中で発覚するのが、シーナの圧倒的な強さ。前世の記憶が蘇ったシーナは他の属性魔法や最高位の魔法も使えるように。キリが身構える魔物も、ひとりで軽々と倒してしまうのだった。

追放聖女の勝ち上がりライフ

追放聖女の勝ち上がりライフ

 その後、無事、隣国のマリタ王国に着いたシーナたちはジンとバリーという2人の男性と出会い、行動を共にする。

 マリタ王国でシーナはS級ランクの冒険者登録を勧められるが、ごく普通の日々を送ることを目指すシーナはランク無登録を選択。ジンたちは、そんなシーナの気持ちを優先し、不自由のない暮らしができるようにサポート。温かい配慮を受けながら、シーナはゆるい勝ち上がりライフを楽しんでいく。

 本作では、シーナの圧倒的な魔力に驚かされるだけでなく、キリとの熱い友情にウルっとさせられもする。キリは自分に自信はないものの、シーナのためなら命を投げ出せる覚悟を持った侍女。

追放聖女の勝ち上がりライフ

 まっすぐなキリと、常にキリのことを思いやる、しっかり者のシーナの強い信頼関係のおかげで物語は、よりほっこりとしたものになっているのだ。

 また、マリタ王国で出会ったジンとシーナの関係が、どう発展するのかも今後の見どころ。シーナを前にすると、つい庇護欲が掻き立てられてしまうジンは人の痛みが分かる人物。ダイド王国でのシーナの暮らしぶりを知った時には、温かい言葉をかけ、心の傷を包み込んだ。

追放聖女の勝ち上がりライフ

 そんなジンは、ある秘密を隠し持っているため、そちらもぜひチェックしてみてほしい。

 ふがいないと思える私も身を置く場所が変われば、自分の見え方が変わり、少し未来が楽しみになるのかもしれない…。本作は、そんな希望を与えてくれる作品でもある。ストーリーを楽しむのはもちろんのこと、知らなかった自分の良さや強さに気づくきっかけも得てほしい。

文=古川諭香

あわせて読みたい