“日本で働くか、米国で働くか”――アメリカでリストラされた35歳の底辺駐在員が、コロナ禍に本気で考えたことが詰まった1冊

暮らし

公開日:2023/11/18

■同調圧力のない環境を選んで人間関係による消耗を減らす

 日本では「働き方改革」が進んでいるそうですが、それでもまだ、「子どもが熱を出したので休みます」とか「親の介護で会社に遅れます」ということはなかなか言い出せないと聞きます。
私が新卒で入社した会社もそうでしたが、職場では先輩や上司に頼まれたことは、自分の仕事が忙しくても、用事があって早く帰りたくても、断れない雰囲気がありました。なかには、「手が空いていたらちょっとやってくれるかな」と、仕事にまったく関係ないことを頼む上司もおりました。

「私の仕事ではないので、できません」と断りたいところですが、「空気を読めよ」「長いものには巻かれろ」といった重苦しい空気が漂っているので、とてもではありませんが、言うことはできません。

 同調圧力がものすごく強いので、残業も断れないし、有給もまともに取れない。こうした日本的な風土は、私にとってかなりストレスが溜まるものでした。日本と米国のどちらの国が優れているということは思いませんが、個人を尊重する米国にはこうした同調圧力があまりございません。

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 現在籍を置いている会社は日系企業ですが、風土は米国風でして個々の意見や希望を言える雰囲気、かつ聞き入れてもらえる会社です。
 自分の仕事ではないことや予定でないことを頼まれたときも、必要であればもちろん助け合います。ただし、不公平さや不満が感じるシチュエーションだった場合は年齢や序列関係なく、割とはっきりと不満を言い、「NO」と言います。

 仕事のことに限らず、先輩や同僚の方々に食事に誘っていただいても、もし乗り気でなければ「行きません」とド直球で気兼ねなく断れます。
「ほかの予定がある」などと、誘った相手を傷つけないように適当な断る理由を考えたり、噓をついて悪いなと罪悪感を持ったりする必要もありません。
 ただ、私の場合は独身で普段良いものを食べておりませんので、食事に誘われたときは参加しています(笑)。

 居心地が良いと感じられる会社が見つかり、職場の上司・同僚とも上手くいっている私は、ただ運が良く、恵まれているだけなのかもしれません。
 それは否定いたしません。仕事での人間関係を自分の好みで選ぶわけにはいきません。だからこそ、人間関係では多くの人が悩むわけです。
 昔の自分がそうでした。人に優しく思われたいとか、嫌われたくないという思いが優先してしまい、周りからの目を気にして自分の意見を押し殺していましたし、はみ出したことをして孤独になってしまうことは恥ずかしいとも感じていました。

 批判があることを覚悟で申し上げますが、「クラスメートだから仲良くしないといけません」とか、「同僚なのだから仲良くしないと」などに代表されるような〝キレイゴト教育〟を日本で先生&上司から受けて育ちましたので、そう考える人間に育ったのは当然です。

 日本を離れて家族友人から半ば強制的に隔離され、距離的に孤独でいることに慣れてしまったこともあるかもしれませんが、米国に来て以降思うのは、自分の意見を述べて行動に移したことにより、周りから仲の良い人がいなくなって孤独になってしまうのは全然恥ずかしいことではないということです。

 自分の意見が、もし他人にとって厳しいことだったり、否定的なことだったりしたら、それを口にするのは難しいことですが、その場凌ぎで妥協して馴れ合い的な行動や発言をしていると不満を抱えることになります。

 私もまだまだですが、最近やっと他人に反対するようなことでも自分の意見を言えるようになってきました。
 そういったときによく使う枕詞が、「批判いただくことを覚悟で申し上げます……」とか「◯◯さんと険悪になるかもしれませんが、それでもあえて申し上げます……」などでございます。
 自分の意見が人の道に外れていたら勿論ダメですが、自分の意見ははっきり言ったほうがスッキリしますし、相手にも考え方を理解してもらえるので、逆に人間関係を上手く構築できていくことのほうが多かったように思います。

■ギリギリ消耗しない5か条

①人目を気にしない
周りの人は他人の容姿や服装なんて、ほとんど気にしていません。比較するのではく、自分の価値観で生きていれば、息苦しさを感じたり無駄に消耗したりすることがなくなります。

②運に感謝する
〝自分は運が良い〟そう思うことで何事にも感謝でき、ポジティブになります。病気をしていたどん底時代と比べると、居場所があることに感謝しなければと思うようになりました。

③目標を持たない
やる前に考えすぎてしまう方は、〝とりあえずやってみる〟ことで不安が軽減します。目の前のことに没頭してみると、自然と不安や憂鬱な気分がどこかに消えてしまうことってあると思います。

④結果に期待しない
人間は期待していたものを下回る結果が現実として突きつけられると、ひどく落ち込むものでございます。高い理想や目標を設定せず、目の前のことを淡々と積み重ねるだけなのです。

⑤健康が一番大切
健康を取り戻すことができたから、こうして活動できています。体は、食べ物と運動で作られます。自分で体をコントロールできるということは、意識しなくても自信につながっているようです。

ギリギリ消耗しない5か条