犬に「ずっと一緒だよ」と言えない苦しさ。ドーベルマンを保護したヨシモフ郎さんの保護犬・保護猫マンガに爆泣き

マンガ

更新日:2024/1/24

ドベとノラ 犬がくれた優しい世界
ドベとノラ 犬がくれた優しい世界』(ヨシモフ郎/KADOKAWA)

 犬や猫からハムスター、爬虫類などペットを飼っている人は多くいます。本稿のライターはこれまでペットを飼ったことがなく、手間もお金もかかるのにペットを飼う人の気持ちが正直わからずにいました。そんな筆者でも「ペットっていいな、飼ってみたいな」と思ったのが『ドベとノラ 犬がくれた優しい世界』(全2巻、ヨシモフ郎/KADOKAWA)を読んだ時。本書は1、2ページの短いマンガで構成。著者・ヨシモフ郎さんが自分のペットや保護した犬猫との暮らしを綴ったものです。ヨシモフ郎さんの視点から言葉を与えられた犬猫たちがとにかくかわいい!!

ドベとノラ 犬がくれた優しい世界

 なんてことのない日常がペットといるだけで華やいで感じる。そんなヨシモフ郎さんの犬猫への愛がずっしりと伝わってくる一冊。癒されて、笑って泣けること間違いなしです。

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 ペットを飼う前のヨシモフ郎さんの生活は、ほぼ引きこもりで昼夜逆転。小さい頃から犬を飼うことに憧れはあったものの、自分には無理だと諦めていました。しかしきっかけが重なって、朝晩1時間以上の散歩が必要というドーベルマンを飼うことを決意。そんなヨシモフ郎さんにとって初めてのペットとなったのがドベです。出会った時は4kgだった体重もあっという間に45kgまで成長。家のそこかしこを破壊しながら、すくすく成長していきます。

 警備犬になるため生まれたということもあり、一般的には警戒心が高いと言われるドーベルマンですが、ドベは正反対。その愛くるしい姿が読んでいるこちらにも伝わってきます。

ドベとノラ 犬がくれた優しい世界

 元気いっぱいに思えたドベですが、1歳の定期検診で問題が見つかります。そして5歳を待たずして、ドベは空へ旅立ってしまうのです。

 深い悲しみと共存する毎日にも慣れ、1年以上が経った頃。もう犬は飼わないと思っていたヨシモフ郎さんのもとへ、ドベに似た保護犬がいるとの連絡が。何度かその犬に会いに行き愛着が湧くものの、ドベへの罪悪感や新しい犬をちゃんと愛せるのかという不安など、あらゆる感情が押し寄せて、ヨシモフ郎さんは引き取る決意ができません。しかし初めてふたりで散歩に行った時、犬の目を見ているうちに気持ちが固まり、「うちの子になってくれる?」と声を掛けるのです。

 そんな経緯でやってきたドーベルマン・ノラはクールガイ。ヨシモフ郎さんにまったく懐こうとしません。しかし居場所を与え、おもちゃを与え、ご飯を与え……めげずに「人間っていいものだ」と思ってもらおうと日々試行錯誤。そのかいあってふたりの距離はどんどん縮まっていきます。

 元保護犬のノラを飼っているからか、野良犬・猫や保護犬・猫と関わる機会が多くなったヨシモフ郎さん。ある日保護団体からの連絡で、行き場のなくなった野良犬を週末だけ預かることになります。茶々と名付けたその犬と初めて会った時は、そこらじゅうに血が飛び散り、檻から脱出した上リードも噛み千切られていて、もはやサバイバルホラー映画のオープニング状態。

ドベとノラ 犬がくれた優しい世界

 しかしヨシモフ郎さんが挨拶し、あごのあたりをなでると一瞬で彼に懐き、甘えてきます。

ドベとノラ 犬がくれた優しい世界

 すぐに甘えんぼになった茶々ですが、過去のトラウマから一瞬でも飼い主の姿が見えないと強い不安に襲われて暴れまわり、嘔吐してしまうことが発覚。ヨシモフ家のソファやカーペットなどあらゆるものを破壊しながらも徐々に生活に慣れていきます。それでもなかなか貰い手が見つからず、「ずっと一緒だよ」と言ってあげられないことに心を痛めるヨシモフ郎さん。

ドベとノラ 犬がくれた優しい世界

 一時的に犬猫を預かるのはお世話の手間だけでなく、予防接種からケージ、おもちゃの購入まで費用もかさみます。それでも行き場のない犬猫を受け入れる彼の愛情深さに感動するとともに、やってくる別れの時は涙なくしては読めませんでした。

 ドベとノラ、茶々だけでなく彼らのお友達の犬猫やヨシモフ郎さんの庭で発見された4匹の赤ちゃん野良猫など、多くの犬猫が登場する本書。どの犬猫も性格が違い、行動が違い、それぞれのかわいらしさたっぷりに描かれています。犬猫が大好きな人はもちろん、そうでない人も、読めば私のようにその魅力にハマってしまうこと間違いなしです。

文=原智香

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