巨大クリーチャー×超獣駆除を行う「区役所」のバトルマンガ! 建物を倒壊させる巨大な牛の超獣にどう立ち向かう?

マンガ

公開日:2024/2/4

有害超獣
有害超獣』(Nykken:著、Toy(e):原著/KADOKAWA)

 未知の怪物と戦う話は星の数ほどあり人を魅了してきた。どうしてそんなに惹かれるのかと思いもするが、人間側がかっこよく戦い怪物を打ち負かせれば、スカッとするものだ。怪物を倒す過程や人間関係に注目することもできるし、怪物のビジュアルを楽しむ人もいるだろう。

有害超獣』(Nykken:著、Toy(e):原著/KADOKAWA)は、イラストレーターToy(e)氏のX(旧Twitter)で公開されたシリーズが大人気となり、Nykken氏により漫画化された作品だ。

本土から遠く離れた吉備津島(きびつじま)という島に巨大な獣たちが現れる。その超自然的な鳥獣たちを「超獣」と呼び、特に人間に有害なものを「有害超獣」と表現している。その有害超獣と「区役所」と呼ばれる組織が戦うストーリーだ。

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個性豊かな有害超獣たちのビジュアルは大注目!

 有害超獣たちのビジュアルは、とにかく必見である。私たちが知る動物たちを大きくしたようなものから、特撮映画に出てきそうな2足歩行の怪獣をさらに恐ろしく精緻にしたようなタイプなど様々だ。精密でリアルに描かれた異形たちは、生態まで詳しく設定されており、クリーチャー好きにはたまらない。

 はじめに登場する有害超獣の「ケイバク」は、バッファローなど牛の仲間のような姿だ。地響きを鳴らし建物を倒壊させ、車なんて片足で踏み潰してしまえるほどの巨体。それが怒り狂いながら突進してきたら、正直こわすぎて戦いたくない。しかし、このような超獣が我々の生活圏に存在していたら震えるほど恐ろしいが、アクションシーン満載のフィクションなら楽しめる。話の終わりに、「有害超獣対応報告書」として登場した超獣のイラストと解説があり、図鑑のようで面白い。

「魔女は超獣因子によって生まれた超人」有害超獣を駆除する彼女たちの存在とは?

 有害超獣がかっこいいと愛でるだけの漫画ではない。この漫画は、区役所と呼ばれる集団の職員たちの人間模様も描かれている。区役所とは、「島民の救出や超獣の調査に意欲を見せる人々の集団」で、いつしか区役所と呼ばれるようになったものだ。優秀な心理学者の如月千騎(きさらぎ・かずき)が、区役所の警備四課の課長になるところから物語ははじまる。警備四課には、「魔女」と呼ばれる超人たちがおり、要となって有害事象超獣に対処していく。

“君に任せたい仕事というのは
彼女たちの暴走を防ぐためのメンタルケアとなる”

 如月が呼ばれたのは、四課職員の魔女たちが持つ精神的問題の解決のためだったのだ。魔女は圧倒的な強さを持っているが、超獣因子と融合した存在のため、精神が超獣と人間とでせめぎ合っている。超獣による被害をなくすために魔女たちは必要不可欠であるが、まるで兵器や道具のように扱われることもある。魔女自身や周囲の人々の彼女たちへの対応などの問題を抱えつつ、如月は課長として奮闘していく。変わり者ばかりの魔女たちと如月との関わりがどう変化していくかも注目して読んで欲しい。

 恐ろしく醜くて美しい有害超獣を堪能しながら、区役所のメンバーたちが孤立した島民を救い超獣災害を終わらせることができるのか、という物語も楽しめる漫画だ。今後の展開に目が離せない。

文=山上乃々

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