可愛い顔をした毒舌新人バイト・古森くんと彼にセクハラしまくる女の子。天然かつ小悪魔な言動にハマって抜けられない!?

マンガ

公開日:2024/3/3

バイトの古森くん
バイトの古森くん』(せかねこ/KADOKAWA)

 第2回ピクシブエッセイ新人賞大賞を受賞したエッセイ漫画『バイトの古森くん』は、著者のせかねこさんが実際に働いているショッピングモールに新人バイトとして入ってきた古森くんとの日々を描いたお仕事日常漫画だ。

 童顔でいつも高校ジャージを着ている古森くんは、実は23歳。ふんわりとした雰囲気ながら、唐突に毒舌を吐くのでつかめない男の子だ。

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バイトの古森くん

 そして、そんな古森くんを推していて、息をするようにセクハラをするのが作者のせかねこさんだ。

バイトの古森くん

 確かに、古森くんは可愛い。毒舌も悪気がない様子だし、我が道をいくマイペースさもいい。なぜか憎めない人というのはいるが、まさに古森くんがそのタイプだ。

バイトの古森くん

 作者が古森くんに向ける眼差しは、完全に推しにオタクが向けるものだ。確かにこんな天然素材のような逸材がいたら、オタクとして荒ぶってしまう気持ちもわかる。推しがいる職場って、すごく楽しそうだ。

バイトの古森くん

 一見古森くんが天然で主人公が振り回されているようにも見えるが、主人公も意外と抜けているので、二人でお互いにツッコミ合うのも可愛らしい。気がつけば、古森くんがというよりは、この二人のじゃれ合いのようなやりとりが好きになってしまっていた。

バイトの古森くん

バイトの古森くん

 バイト先には古森くん以外にも、美人だが性格に難ありのパートさんと、ふざけたおじさんの店長もいる。彼らもまたキャラが濃く面白い。

バイトの古森くん

バイトの古森くん

 古森くんはお兄ちゃん子というのも、解釈一致で萌えポイントだ。また、この感じなのに一人称が「俺」なのも個人的にはギャップがあってポイントが高い。気がつけば読んでる私も作者と同じように古森くんの可愛さにメロメロになっていた。

バイトの古森くん

 全体的にゆるくてコミカルな話が続くが、一方でお仕事だからこその辛い部分も描かれている。とある日に突然届いた異動命令。作者は、今までも何度も上からの命令で異動をさせられていた。有無を言わさずに職場を転々とさせられることに納得のいかない作者はオーナーに掛け合うのだが、それも一蹴されてしまう。

バイトの古森くん

 店長もパートさんも、割とドライな反応で、それがちょっと寂しい。古森くんにも相談をすると、「辞めなよ」の一言。流石にそれにはびっくりした作者が聞き返すと、古森くんからは予想外に彼女に寄り添った言葉が返ってきたのだった。

バイトの古森くん

 普段は毒舌でふざけていて問題児な古森くんだが、こういうときにはちゃんと話を聞いてくれて、優しい言葉やアドバイスをしてくれる。また、冷たいと感じていた店長やパートさんも実は裏で作者のために動いていたことを知る。大変な出来事ではあったが、頑張って乗り越えたことで、作者にとってはさらに今の店舗が特別なものになったのだった。

 仕事において、人間関係ってすごく大切だなと、この漫画を読んでると思う。作者が今の店舗を離れ難いと思ったのは、間違いなく一緒に働いているメンバーがいたからだ。一度読めば、誰だって古森くんや店長やパートさんのことを好きになる。こんな人たちと働く日常っていいなと少し羨ましくなる。

 気がつけば読者はみんな古森くんのファンだ。クスッと笑えて、時々萌えて、そしてうちの職場にも古森くんみたいな人がいたらな、と思わせてくれる作品である。

文=園田もなか

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