雑談に苦手意識がある人は必見の一冊! 定番の話題・趣味について切り出すときにベストな言い換え表現は?

文芸・カルチャー

公開日:2024/2/15

超雑談力 人づきあいがラクになる 誰とでも信頼関係が築ける
超雑談力 人づきあいがラクになる 誰とでも信頼関係が築ける』(五百田達成/ディスカヴァー・トゥエンティワン)

 他愛もない雑談をするのが苦手だ。相手がたとえ笑顔でいても、おもしろいと思ってくれているのかと考えてしまうし、その後、会話相手がその場にいる別の人と盛り上がっていると、やっぱりダメだったか……と苦しくなる。

 どうにか打開策はないかと思い、願いを託したのが『超雑談力 人づきあいがラクになる 誰とでも信頼関係が築ける』(五百田達成/ディスカヴァー・トゥエンティワン)だった。

 基礎から応用まで、本書ではプライベートや仕事での雑談スキルを学べる。目指すは、状況問わず雑談を盛り上げられる「超人」のレベル。コミュニケーションが不得意な人に、ぜひともおすすめしたい。

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雑談は「情報交換」ではなく会話の「ラリー」を目的に

 雑談は、なぜ難しいのか。それは「盛り上げるためにおもしろい話をしなくてはいけない」という、ある種の呪縛にとらわれていたからだと本書で学んだ。

 雑談とはそもそも「会話を通じて、お互いの警戒心を解き、スムーズで円滑な関係にシフトするのが目的」だと、著者の五百田達成氏はいう。結果、相手と会話の「ラリー」が続けばいい。

 では、理想的な雑談とは何か。以下は、本書にある例文だ。ゴルフにまつわる、ふたりのやり取りに注目してほしい。

「最近いいドライバーを買いまして」
「どこ製のですか?」
「○○製です」
「どうしてそれにしたんですか?」
「芯を食ったときの飛びが違うと聞いて」
「なるほどそうですか。では私も検討してみます」

 よく見かける光景ではあるが、五百田氏は「こんな会話をしていては、いつまでたってもよい関係は築けません」と述べる。理由は情報交換が目的となっているためだ。同じ話題でも、以下のように気持ちを交わすのが良い雑談だとする。

「最近いいドライバーを買ったので、気持ちよく打ててるんですよ」
「わかります! しっくりくるクラブって貴重ですよね」
「一旦『これだ!』って思っても、すぐにわからなくなったり。困ったもんですよ」
「でもまあ、そうやって難しいからこそ、ゴルフって楽しいんですよね」
「そうなんですよー。やめられませんねえ」

 前者のパターンと異なって情報は、ほぼない。しかし、生の気持ちを共有したことで、相手との親密さはグッと縮まった印象を受ける。そのとき、話題に沿って何を思い、感じるかをしゃべるのみ。その基本をつかめば、雑談が苦手な人のハードルも下がるはずだ。

「趣味」ではなく「ハマっていること」を質問するべし

 コミュニケーションは挨拶からはじまる。相手が初対面の場合はつい「はじめまして」と言いたくなるが、本書では「こんにちは」の第一声で、雑談をはじめるのがよいとすすめる。

 これは、いかにもビジネスライクな挨拶だと、たがいに気持ちを交わしづらいためだ。初対面ではなくとも「こんにちは」から雑談をはじめ、さらに、続けて「○○社の●●です」と会うたびに繰り返し伝えるのも大事なコツだという。

 しかし、きっかけをつかんだあと、雑談が続かず、ハハッ……と苦笑いが響くような気まずい空気が流れる場合もある。趣味の話題を振るのは定番のきっかけではあるが、その聞き方には注意したい。

 パッと浮かぶのは「趣味は何ですか?」という質問だが、じつは、この聞き方は「難易度が高い」と著者は指摘する。理由は、相手がどのレベルの趣味を指しているか分からず、ともすれば、自分には趣味と呼べるほど胸を張って誇れるものはないと、困惑する可能性があるからだ。

 代わりにすすめるのが「最近ハマっていること(もの)、ありますか?」という聞き方だ。こうすればハードルは下がり、直近の日常生活で好きなことを対象にしやすい。相手が「先週末は箱根までドライブしました」と返したなら「箱根」や「ドライブ」へ、「来週はサッカーの試合を見に行く予定でした」と返したなら「サッカー」や「スポーツ観戦」へと、話題を広げるヒントも見つかる。

 さて、これは筆者の私見となるが、本書と出会うまでは「もう、孤独でいいや……」と、なかばむりやり自分を丸め込もうとする時期もあった。しかし今は、完璧ではないかもしれないが、本書により雑談への苦手意識がやわらいだ実感もある。人はやはり、他人との関わりなくして生きられない。似た悩みを持つ人に、ぜひ手に取ってほしい1冊だ。

文=カネコシュウヘイ

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