内田真礼×後本萌葉×坂田将吾でアニメ化『恋は双子で割り切れない』。初恋と三角関係に悩む幼馴染の少年と双子姉妹を描く

マンガ

公開日:2024/3/4

恋は双子で割り切れない
恋は双子で割り切れない』(高村 資本:原作、OKARI:作画、あるみっく:キャラクターデザイン/KADOKAWA)

“初恋は幼馴染のお隣さんだった”

 双子の姉妹と少年のこじらせ続ける初恋を描いたラブストーリーが『恋は双子で割り切れない』(高村 資本:原作、OKARI:作画、あるみっく:キャラクターデザイン/KADOKAWA)である。本作は、2024年7月からTVアニメの放送が予定されている人気ライトノベルのコミカライズ。本記事ではその内容を中心に魅力を紹介していく。

 男子高校生・白崎純(しらさき じゅん)が目を覚ますと、元彼女・神宮寺琉実(じんぐうじ るみ)が当たり前のような顔で、彼の部屋に居たところから物語は始まる。

双子の少女と少年は幼馴染で初恋の相手?

 白崎家の隣に住む神宮寺家には、彼と同級生の琉実と那織(なおり)という双子の姉妹が住んでいる。彼女たちとは純が隣に引っ越してきた6歳の頃からの付き合いで、それから同じ高校へ進んだ現在まで、一緒に育ってきた幼馴染であった。彼らは顔パスでお互いの家を行き来していた。

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 双子の姉、ショートカットがまぶしいスレンダー美人の琉実はバスケ部に所属しているアクティブ少女。ロングヘアーにスタイル抜群、成績は学年トップクラスの那織は頭の回転が速いサブカル好き。彼女たちに挟まれている純は、学校中の男子から羨ましがられていた。

 この対照的な姉妹は二人とも、純が初恋の相手であり、今も彼に恋している。

 ただ表向きは、仲の良い幼馴染のままだ。そんな三人のバランスが崩れたのは中学生のとき。「わたしと付き合ってみない? お試しみたいな感じでどう?」と琉実が純に告白したのだ。お互い初めての彼氏彼女になった二人だが、1年間でその関係は終わる。高校への進学を控えたある日、琉実は純に「今日で終わりにしよう」と告げた。さらに彼女は続けて口にする「那織と付き合って」と。

 純は琉実を忘れて那織と付き合うのか。不可解な琉実の真意とは。那織は二人の気持ちを察してなお、自分の恋を貫けるのか。

 本作は、彼らが抱く複雑な想いをそれぞれの視点でていねいに描いていく。

対照的な二人!琉実と那織が抱く複雑な想いとは

 とにかく神宮寺家の双子は非常に魅力的なヒロインだ。見た目はもちろん(表情豊かで作画も抜群に可愛い!)中身がいい子で、彼女たちのことを知れば誰でもきっと好きになる。

 見た目はボーイッシュで、負けず嫌いのスポーツ少女の琉実は、実は本性が一途な乙女だ。恋に悩みつつも表に出さず、思い切って告白する勇気もある。サバサバしているようで、別れた純につい甘えてしまう自分を抑えることができない。彼女の複雑な想いが、物語序盤のポイントになる。

 そして、姉に勝るとも劣らないルックスの那織は、趣味は読書や映画で多彩な知識を前面に押し出すオタク少女だ。彼女を中心に描かれる、登場人物たちの深くて笑えるサブカルトークは本作の雰囲気を明るくしていると感じる。那織はインドア気質ではあるが、コミュニケーション力は高く、明るく元気で外面は大変良い。ただ気が強く、ひねくれ気味で素直になれない性格だ。

 この妹はスポーツ以外で姉に負けるところはないようだが、実はどんなことでも琉実に先を越されてきたことがコンプレックスであった。それは恋も、である。だから姉が純と付き合ったと聞いて泣き、二人が別れたと聞いて「遠慮はしない」ことを決意する。ただ那織は三人の関係に強い思い入れがあり、自分の恋との間で揺れているのも確かなのだ。そして彼女の言動が物語を大きく動かしていく。

 二人とも違った魅力で純に迫り、読者の心を鷲掴みにしてくる。あなたはどちらに肩入れするだろうか。

こじらせて、こじれた“割り切れない”恋の行方

 本作は初恋からのこじらせを描いており、その生々しさも魅力だ。初めて好きになった幼馴染同士は、ときにはストレートに相手にぶつかるが、彼らはそこで3人のうちのもうひとりについて思いをめぐらせる。家でも学校でも、毎日顔を合わせる幼馴染で同級生である3人の関係は、好き、付き合う、振られる、などというシンプルな結果にならない。単純には“割り切れない”のである。

 なぜなら、全員が自分以外の二人のことが大好きだからだ。気まずくなったりドロドロしてきたりしそうなものだが、そうはならない。彼らは恋に悩みながら、大好きな皆も幸せであってほしいと願いつつ前に進もうとしているように思える。

 本作は3人の過去と現在の感情や言葉を、それぞれの一人称でしっかりと描いていく。同じ場面を、それぞれの視点から描きなおしたりもする。読者としては演出も巧みで非常に分かりやすいが、そのぶん“やきもき”してしまうのだ。あなたが本作を読めば「お互い好きなのになんで進展しないのか」「これ、誰かが幸せになったら誰かが不幸になるということ?」などと考えるかもしれない。また、この“こじらせてこじれた恋”の続きが気になってしょうがなくなるはずだ。

 アニメ放送では、主人公の白崎純役を坂田将吾が、琉実役は後本萌葉、そして那織役を内田真礼が担当してアニメ化予定。もしコミカライズの続きも待ちきれなくなった場合には、現在5巻まで刊行している原作小説をぜひ楽しんでほしい。

文=古林恭

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