ゆったりと流れる青春時代の時間
公開日:2013/3/8
高校3年生の繭子は、勉強を教えてもらうことをきっかけに、憧れだったハルと初めて会話をする。ハルは無口でぶっきらぼうながらも、笑顔のかわいい星が好きなとても優しい男の子でした。2人の時間はゆっくりとですが確実に流れ、そして進学という別れの季節がやってきます。理想の高校生時代の恋愛がここにありました。
放課後の図書館で2人だけの勉強会。プールサイドで語り合う何気ない会話。2人きりの天体観測。そして自転車の二人乗り。あぁ! なんて理想的なシチュエーションが詰まった少女漫画なのでしょうか。制服の夏服。ツインテールの髪型。星型のヘアピン。小さな素材のディティールも、全てがかわいくて眩しいです。
その当時はわからなかったけれど、高校生たちが過ごす日常って、どこを切り取っても全てが美しくキラキラと輝いていますよね。制服での自転車の二人乗りは、学生時代にしたかったことで根強く語られ続けていることナンバー1だと思います。そんな、キラキラと輝いていた青春時代の恋物語が、とても優しいタッチの絵で丁寧に描かれています。
決して時系列が遅いという訳ではないのに、不思議なことにこの作品の中ではとてもとてもゆっくりと時が流れているような感じを受けます。恋と友情、そして進学という名の別れと、繭子の前にはたくさんの試練が待ち構えています。優しく流れる2人の時間が、どうか幸せなものになりますように。
制服姿で自転車の二人乗り。憧れです
テストが返されるだけの場面も、もはや眩しい
きっかけはささいなことから
プールサイドで語りたいです
2人の時間はゆっくりと流れていきます
進路の違う2人はどうなってしまうのか
(C)小森羊仔/集英社