プレゼンにも雑談にも効果アリ!? 文学作品の1日1分朗読で、コミュニケーションスキルをレベルアップしよう

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公開日:2024/3/4

話し方が上手くなる! 声まで良くなる! 1日1分朗読 これぞ日本語最高峰! 何度でも読みたい名文・名作編
話し方が上手くなる! 声まで良くなる! 1日1分朗読 これぞ日本語最高峰! 何度でも読みたい名文・名作編』』(魚住りえ/東洋経済新報社)

「音読」と「朗読」の違いを知っているだろうか。国語辞典ではどちらも「声に出して読むこと」となっているが、朗読にはより丁寧に読み聞かせるイメージがある。俳優やアナウンサーがする印象の朗読だが、実はビジネスパーソンにもおすすめ。プレゼンで思いを伝えるには、聞き取りやすい声や気持ちのこもった話し方が武器になるからだ。

 そんな朗読に気軽に挑戦する方法を教えてくれるのが、『話し方が上手くなる! 声まで良くなる! 1日1分朗読 これぞ日本語最高峰! 何度でも読みたい名文・名作編』』(魚住りえ/東洋経済新報社)だ。30年以上アナウンサーとして活躍してきた魚住りえ氏による、誰でもすぐに始められる朗読メソッドを紹介しよう。

さまざまな効果が期待できる「朗読」に挑戦

 朗読は、コミュニケーションスキルの向上にも役立つという。なぜなら朗読とは、相手に伝えるものだから。相手を意識することで、客観性が養われる。「自分を律して相手にフォーカスすること」が朗読の真髄であり、これはビジネス、プライベートを問わずコミュニケーション全般に役立つことだと魚住氏は語っている。

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 客観性を養うために大切なポイントは、朗読を録音して聞くこと。どう聞こえているのかを把握することから始まるのだ。初めは慣れなくても、つっかからずに読めた、言いにくい言葉がクリアになってきたなど、上達が分かって自信にもつながる。声や話し方に自信が出てくると、人前で話すのも苦ではなくなってくるはずだ。

 また本書の例文に選ばれているのは、夏目漱石の『坊っちゃん』や川端康成の『伊豆の踊子』といった日本文学の名作ばかり。少しずつ読んでいけば、教養や語彙も増えていくこと間違いなしだ。

朗読を始める前に…読みやすい原稿を作る準備

 そうは言ってもいきなり朗読は難しい! そこで、魚住式朗読法は黙読、音読、朗読の3つのステップを踏むことで誰でも朗読ができるプログラムが組まれている。まずは声を出さない黙読で文章の内容を把握し、全体の流れを掴む。この時、「この文章で自分が伝えたいことは何か」を考えるのが魚住式朗読法のポイント。楽しい、共感したなど、気になった部分はピックアップしておこう。

 次に音読しながらの準備。ここからは原稿に書き込みをするのでペンを用意しよう。声に出して文章を読みながら、読めない漢字があれば調べる。苦手な発音や、引っかかりやすい箇所もチェックしていく。

 小説を読む場合は、作家によって読点の量に差がある。原文そのままだと息が続かなかったり、逆に細切れで聞きにくかったりするので、伝わりやすいように文章を切る位置を調整しよう。読点が少ない文章では、切る位置を間違えると意味が変わってしまうこともあるので注意が必要だ。

朗読を始める前に…表現するための準備

 ここからは朗読の肝である、表現にかかわる準備。文章には必ず、「聞き手に絶対に伝えたい大切な言葉や文章」がある。それを見つけ、印を付けていく作業だ。

 強調するべき箇所は、例えば人の名前や状態を表す言葉など。それらを、強く読む、ゆっくり読む、声色を変えて読むなどのテクニックを使って表現していく。本書には例文の元の文章と、著者が強調する言葉と表現方法の印を付けた文章の両方が掲載されていて、二次元コードから音声を聞くこともできる。強調すべきポイントは、お手本を参考にするといいだろう。

 チェックができたら、読み方のプランを考える。楽しい内容なら明るく、途中で暗い内容になるならここからはトーンを落とすなどをメモしておくこと。プランに正解はないので、自分なりの表現を考えてみよう。ここまでできたら、あとは作り上げた原稿に従って読むだけ。録音して聞いてみるのを忘れずに。

 本書に掲載されている文学作品は全部で22作品。初級、中級、上級と少しずつ文章の難易度が上がっていき、飽きずに挑戦できる。実際に朗読をしてみると、初めはたどたどしくても2回、3回と読むうちに慣れて楽しくなってくる。スキルを上げるためだけでなく、手軽な趣味としてもオススメだ。

文=冴島友貴

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