大塚剛央、石川界人、下野紘らでアニメ化『ハイガクラ』。歌と舞で地霊や精霊を閉じ込める神々の中華ファンタジー漫画

マンガ

公開日:2024/3/24

ハイガクラ
ハイガクラ』(高山しのぶ/一迅社)

 日本にはたくさんの神々が祀られた神社仏閣が多く存在する。パワースポットと呼んで巡ってみたり、御朱印集めをしてみたり、神様は「いる」という前提で願掛けや神頼みをしたことがある人は多いだろう。

ハイガクラ』(高山しのぶ/一迅社)は、世界の危機を救うために、逃げた神々を連れ戻す、歌士官たちの戦いを描くアクションファンタジー。具現化された神様を集めていく異色の物語で、シリーズ累計130万部突破(※電子含む)の 人気長編コミックだ。連載開始から15年を経て、2024年に声優の大塚剛央さんや石川界人さん、下野紘さん などが担当し、TVアニメが放送予定だ。

 物語の舞台は、仙界という神と人間が暮らす世界。四凶と呼ばれる四匹の凶神によって支えられていた仙界は、凶神のうちの二神が二つの山を沈めて他国へ逃げたことにより、危機的な状況に陥っていた。

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P66,67

ハイガクラ
©高山しのぶ/一迅社

ハイガクラ
©高山しのぶ/一迅社

 逃げた神々を連れ戻すため、歌士官は「歌」と「舞」で異国の神々を「斎」に閉じ込め、連れ帰ることで、危機に瀕した仙界を救っていく。「斎」というのは、歌士官が持っている神を閉じ込めておく数珠のことだ。ただ、神々を捕まえることは簡単なことではないので、歌士官はよその国の邪神や悪神、悪霊、鬼などにあたる地霊や精霊を集めてくることで日々のお金を稼いでいる。

 主人公は、「舞」は完璧だが驚異的な音痴のために地霊や精霊を捕まえることができず、周囲から落ちこぼれや出来損ないと言われる歌士官の一葉(いちよう)。歌士官なのに未だに連れ帰ってきた地霊や精霊がゼロであるため、常に一文無しだ。

ハイガクラ
©高山しのぶ/一迅社

ハイガクラ
©高山しのぶ/一迅社

 歌士官には「従神(じゅうしん)」と呼ばれる子分のような神様がいて、一葉には二人の従神がいる。ひとりは、中級神の滇紅(てんこう)。そしてもうひとりが、小さな子どもの姿をした中級神の花果(かか)。

ハイガクラ
©高山しのぶ/一迅社

ハイガクラ
©高山しのぶ/一迅社

ハイガクラ
©高山しのぶ/一迅社

 二人はいざという時には変身して(変身すると見た目も性格も変わる)歌士官を手助けしてくれるのだが、一葉は調教師に頼まず自分で従神の面倒を見ているため、従神たちに言うことを聞いてもらえず、手助けどころかトラブルに見舞われることもしばしば。二人の従神と一葉との関係はコメディ的な要素としてちりばめられていて、シリアスな場面が続きすぎないのでリズムよく読み進められる。

 一葉は自由奔放な二人の従神に振り回されながらも、探すのが最も難しいとされる四凶の神を探して国外を飛び回る。一葉が四凶を狙っているのには理由があるようで…?

ハイガクラ
©高山しのぶ/一迅社

ハイガクラ
©高山しのぶ/一迅社

 緻密で壮大な本作品の世界観に、1巻目から圧倒される。1巻ではまだ「斎」と呼ばれる数珠に神様や地霊をおさめるかっこいい一葉の姿は出てこないが、ヘタレ感がありながらも正義感を感じるふるまいや描写があり、主人公としてどう成長していくのか楽しみな存在だ。また、一葉が何を考えているか読めないミステリアスな部分が物語を通して明らかになっていく面白さもある。

 1巻だけでも多くの登場人物がいて、人間なのか、神なのか、どんな仕事をしているのか、各キャラクターの関係性を把握するのは難解だ。けれど本作品は最近よく見かける中華系の文化を取り入れたストーリーとは違う。舞台となっている仙界は、登場人物の衣服や名前から中国のような雰囲気を感じるのだが、国外へと神々を捕まえに行くため、日本を訪れる描写もある。とにかくスケールが大きいストーリーだ。

 単行本はすでに16巻まで発売されており、また新装版も2024年2月29日から発売されている。アニメ が始まったらハマる人が続出しそうなので、予習しておきたい方はぜひマンガを手に取ってほしい。

文=鈴木麻理奈

漫画新装版について
『ハイガクラ』(著:高山しのぶ)
ゼロサムオンラインにて連載中
https://zerosumonline.com/detail/haigakura
新装版第1巻・第2巻発売中
新装版第3巻・第4巻は3月26日発売

アニメ化について
TVアニメ2024年放送予定
[公式HP]: https://haigakura.jp/
[公式X]: https://x.com/haigakura_anime

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