『池袋ウエストゲートパーク』石田衣良の最新作は、異世界転生の漫画原作。30歳まで童貞で過ごした男が転生すると、職業はやっぱり…な、『DT転生 ~30歳まで童貞で転生したら、史上最強の魔法使いになりました!~』

マンガ

PR公開日:2024/3/8

DT転生 ~30歳まで童貞で転生したら、史上最強の魔法使いになりました!~
DT転生 ~30歳まで童貞で転生したら、史上最強の魔法使いになりました!~』(石田衣良:原作、山田秋太郎:漫画/講談社)

池袋ウエストゲートパーク』で小説家としてデビューし、『4TEEN フォーティーン』で第129回直木三十五賞を受賞した小説家の石田衣良が、自身初となる漫画原作を手掛けた『DT転生 ~30歳まで童貞で転生したら、史上最強の魔法使いになりました!~』(漫画担当は山田秋太郎)。「月刊少年シリウス」2023年10月号から連載が始まり、このたび待望の第一巻が発売された。

 本作の主人公はコンビニで働く、30歳の誕生日を翌日に控えた冴えない男・天塚幸多(アマツカコウタ)だ。地獄の10連勤の最終日、疲れてうっかりカウンターで寝てしまったところ「勇者様……私の心も肉体も貴方様のもの……抱いてくださいませ……」と美少女に迫られる夢を見てしまった。幸多は「幸が多い」と書く名前のわりには幸薄く、誰かと愛し愛される関係も持てずにいる童貞である。

 幸多は勤務を終えて帰宅する途中、自身の人生を「クソゲー」と自棄になりそうだったところ、目の前にいた幸せカップルに気を取られ、連日の疲れもあってか横断歩道上でボーっとしてしまい、運悪く走ってきた車に撥ねられてしまう。「俺……死ぬの?」と突然の出来事に戸惑いながら、「最後までちゃんとこの人生をクリアできなかったけど、もし生まれ変われるなら……今度は強くてニューゲーム……いや、誰かを愛し愛される人生を! おくり……たいなぁ……」と遠のく意識の中願っていると……

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 突然「おめでとうございますッ!」という声がして目覚めてみるとなぜか全裸、大勢の人たちに囲まれたスタジアムのような場所で「魔法使い様」と祝福されていたのだ! しかもこの世界を動かす源であり、力、富、名声である「マギ」という、聞いたこともないものを測定すると言われる。コウタが童貞のまま転生した先である「ミッドランド」という国の人たちは、このマギが20~30ほどしかなく、活躍することができないという。その問題を「異世界への門を開く」という魔法で解決したのが、70000マギという圧倒的な力を誇るロード・アストロンという伝説の魔法使いだった。以来、その魔法を使って異世界人を定期的に召喚、世界を救ってくれる人物を探しているのだという。

 言われるがまま測定するも幸多のマギはたったの12で、前の世界同様役立たず決定。魔法使いとして赤点を喰らい、何がなんだかわからないまま配属されたのは貧乏なアーチボルト準男爵家だった。ところがそこにいたのは、あの夢で見た美少女=リタだった! リタやその姉リリーのために働くことになって、辺境にあるアーチボルト準男爵家を目指す。しかしその道中で盗賊に襲われ、一巻の終わりかと思われた矢先、なぜかコウタのマギが爆上がり、強力な魔法によって敵を薙ぎ払ってしまった! いったい何が起きたのか?……これこそ誕生日を迎え、30歳童貞の大魔法使いコウタの誕生であった。そのコウタと女騎士リタが異世界の五王国を統一、アーチボルト魔法帝国を建国するまでの波瀾万丈の物語が今ここに始まったのだ!

 とはいえ謎はてんこ盛りだ。夢での出来事はいずれ正夢となるのか、もし正夢となってコウタが童貞でなくなったら偉大なる魔法の力は失われるのか? 今も存命というロード・アストロンとは何者なのか? そもそもなぜコウタは転生したのか? いずれは元の世界に戻ることになるのか? また第一巻の最後には敵らしきギズモンテ卿がやって来るなど、魔法帝国建国までの前途はまだまだ多難を極めそうだ。今後のコウタとリタの活躍やいかに!?

文=成田全(ナリタタモツ)

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