1冊完結だから何度も再読し味わい尽くしたい圧倒的構成力の上質ミステリー

コミック

2013/4/30

外天楼

ハード : PC/iPhone/iPad/Android 発売元 : 講談社
ジャンル:コミック 購入元:eBookJapan
著者名:石黒正数 価格:540円

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「天才的な構成」「伏線の回収が神」「納得の高評価」「いや、評価されすぎ」「ブツ切り」「評価するやつはニワカ」などさまざまな評価がなされているものの、「構成力がスゴイ作品である」という認識が前提でこれだけ議論されているコミックというのは、珍しいと思うんですよ。しかも、1冊完結。

「知らないやつは人生損をしている」とまでいわれる作品の天才的な構成とはどのようなものか。さっそく購入して読んでみました。たった1冊、値段にしてワンコインですしね。

1話目。エロ本をどうしても入手したい3人の少年がゴミ捨て場で見つけたエロ雑誌から始まる、ギャグでライトな推理モノ。ふむふむ。すんなり読みやすい作品です。絵柄にクセがなく、親しみやすい。

2話目。雰囲気が一転して、まさかの戦隊モノ。なのに、なぜか途中から推理モノに。やはりギャグでゆるゆる。1話目の少年たちが大人になったときの話。あぁ、短編作品なんですね。小話の中にも伏線や仕掛けが張り巡らされていて、楽しい。有名作品のパロディと思われるネタも散りばめられていて、マニア受けするのも納得。

3話目、4話目…。読み進めていくうちに、世界観も内容もバラバラでブツ切りかと思われていた短作のひとつひとつにうっすらと繋がりが見られるようになり、展開を加速させていきます。そして、最終話ではみごと全話の伏線を総回収。この最終話のために、一見意味がないような設定や描写が積み重ねられてきたのか、と舌を巻きます。

ラストは世界の終わりのような、シリアスではかない結末。この終わり方には賛否両論ありそうだな、と思いつつ、さっそく1話目から再読したのは、きっと私だけではないでしょう。

テレビアニメ化もされたヒット作『それでも町は廻っている』で多くのファンをうならせた作者の天才的構成力を1冊で何度も味わうことができる『外天楼』。非常におトクです。


1話目より。ゴミ捨て場にあったエロ雑誌から展開される推理。持ち主はどんな人物だったか

2話目。一転して戦隊モノ。アクションシーン

トンデモ推理を展開。こんなヤツおらんやろ。爆笑必至

シリアスな最終話。1話から予想もしなかった結末へ
(C)石黒正数/講談社